罰ゲーム



「と、いうわけでナツにはグレイにキスしてもらおうかしら」

「は!?」

顔を真っ赤にして目を見開くナツ。あぁ、かわいいな。

「グレイ、鼻血出てるわよ」

ミラちゃんに鼻血を指摘され急いで拭いてまたナツを見た。

元凶は俺だ。俺がルーシィに相談をした所、こうなった。







「え!?アンタ達まだキスしてないの!?」

「いや、そういうわけじゃねぇけどよ…」

「じゃあ何よ」

遡ること1日前。俺はナツがキスを自分から一度もしてくれたことがないとルーシィに言ってみると酷く驚かれた。それもそうだろう。俺とナツが付き合い始めてもう随分と日が経つ。

ギルドのみんなもこのことは知っているし、みんなはもうどこまでヤったか想像がつくはずだ。

そう、想像はつく…はずだ。

だがその想像はまだ実行されていなかった。

「なんつーか…まだアイツからキスされたこと、ねぇんだ」

「え」

「ギルドじゃ喧嘩ばっかだし、かといってふたりきりになるとアイツは恥ずかしがって何もできねぇし」

「へぇ、ナツったら相当な照れ屋なのね」

ルーシィの言葉に溜め息をつくと「その様子だとまだヤってなさそうね」と言われた。

当たり前だ。本当にナツは俺の事が好きなのか、よくわからなくなってきた。好きでもない奴に襲われても、ナツを悲しませるだけだ。

「なぁ…本当にアイツ、俺の事好きなのかな」

「何言ってんの、当たり前じゃない!」

「何で分かるんだよ」

「誰でも分かるわよ、ナツの反応見てれば」

俺には、よく分からない。

「そうだ!この際無理やりでもいいからキスさせましょう!」

「は?」

「その時のナツの反応見れば、一目瞭然だから!」

「どうやってキスさせるんだよ」

「あたしに任せて!」






と、言うわけでルーシィが用意したのは簡単なゲーム。他の奴らも巻き込んじまったみたいだ。

俺達はナツにばれないように作戦を練ってゲームを開始し、わざとナツが負けるように仕込んだわけだ。

「だぁー!!なんで俺が負けるんだよ!!」

「いいから、早くしなさいよ」

ルーシィに命令をされてうろたえるナツ。

「こ、ここでかよ…」

ナツは人目が気になるようだ。かわいい。

「別にふたりきりでやっちゃってもいいけど、それじゃあアンタごまかして逃げそうだし」

「往生際が悪いぞナツ」

エルザに後押しをされて、ナツはゆっくりと俺を見る。

「いっ…一瞬だけだからな」

ナツは俺の胸倉をつかんでそう言った。

「目、閉じろよ」

ナ…ナツが俺に…キキキキスだと!?

こんなこと今までに一度もなかったせいか俺は柄にもなく物凄く緊張してきた。

「グレイ、鼻血」

ルーシィのあきれたような声が聞こえたがもう鼻血なんて構っていられない。

「早く目閉じろ!」

ナツに言われるがままにぎゅっと目を閉じると頬にやわらかい感触が伝わった。

「…あ…?」

ほ、頬…!?口じゃねぇのかよ!!!!

「こ、これでいいかよルーシィ!」

目を開けるとナツは真っ赤になってルーシィをにらんでいる。

「お…おいナツさん」

「なんだよ!」

「口じゃ、ねーの…?」

「うっせ!!」

ナツの返事に落胆しているとルーシィが「もう家に連れ込んじゃえば」と耳打ちをした。

「な、何言ってんだよルーシィ!バカかお前!」

当然ナツには聞こえており更に赤くなっている。

「ナツ…」

「ななな、なんだよ」

「うちに帰るぞ」

「は!?」

そして俺はナツの手首をがっちりとつかんで飛んで帰った。
















罰ゲーム





グレナツイラストの「い、一瞬だけだぞ!」をもとにしました。

20120901

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