02
入学式を終えて友達と別れた私は今日から行われる祓魔塾の授業を受けるため歩き出した。
しかしそこで一つ問題が起こる。
「…祓魔塾の教室ってどこだろう?」
入学式の時に渡された学園全体が載っている地図を見るが"祓魔塾"と示された場所はどこにも記載されていなくて途方に暮れる。
「確かこれを使うって言われたんだけど…」
私はゴソゴソとポケットを漁り、鍵を取り出した。それは先日届いた封筒の中に入っていたものだった。
もっと説明書きちゃんと読めば良かった…。
「どうしました?」
鍵を見つめてため息を吐いていると後ろから声を掛けられる。振り返るとそこには入学式の時に新入生代表の挨拶をしていた男の子が立っていた。
「えっと、道に迷いまして…」
「それ、もしかして祓魔塾の鍵ですか?」
「へ?」
彼にどう説明するべきか悩んでいると私の手に握られている鍵を見てポツリと呟いた。
「ご存知なんですか!?」
「えぇ、僕が悪魔薬学の担当講師なんです」
「担当、講師…?」
彼の言葉に目を瞬かせているとくすくす笑いながら「はい、悪魔薬学担当の奥村雪男です」と告げられる。
「す、すごいですね!同じ年なのに…!」
「いえ…僕は皆さんより早く訓練を始めただけですから…」
キラキラと瞳を輝かせて尊敬の眼差しで奥村先生を見ると彼は照れたように笑う。
「さぁ行きましょうか。案内しますよ」
「は、はい!よろしくお願いします!」
私は一度ぺこりと頭を下げて奥村先生のあとに付いていった。
「ここが祓魔塾です。一年生はここ一一〇六号教室で授業が行われます」
「ほへ〜!ここが…」
鍵を使って祓魔塾へと訪れた私は奥村先生に教室まで案内される。
うぅ…初日から迷惑掛けっぱなしだ…。
「入りましょうか」
「は、はい…!」
ガチガチに緊張した私に奥村先生は「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」と優しく笑うと教室の扉を開けた。
「席についてください。授業を始めます」
奥村先生のあとに続いて教室内へと入り、そそくさと空いている席へと腰を下ろした。
「っ…!!」
いきなりガタンという音が聞こえてそちらに顔を向ける。するとそこには先程会ったピンク色の髪をした男の子が立っていて、私は彼を見て目を見開いた。
えっ…嘘!?どうして、ここに…!?
「どうかしましたか?」
「あっ、い、いえ!すんまへん!」
不思議そうに訊ねる奥村先生に謝りながら慌てて座った彼がもう一度私を見てくる。彼に軽く会釈をすると小さく手を振り返してくれた。
それに治まっていた胸の高鳴りが再び訪れた。
思わぬ再会
君がいるとわかっただけで
不安だったものが
楽しみへと変わっていった…―
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