【151-160】
深夜に咲いたマーガレット
眦を這う舌先に、陶酔
愛しい愛しいと頬擦りしながら首締めた(愛し過ぎて殺してしまいそうだよ!)
沈黙が奏でる恋慕の先に在るのは、
ごらん、かみさまもないているみたいだよ
哀願は愛玩を招く(そんな顔するなよ、止まらなくなるだろう)
壁際に追い詰められた激情のストッパー
二人きりのソワレを開こうか
この世は所詮夢幻泡影なのだと薄く笑った彼(少し哀しそうなのは気のせい?)
血の、味がした
【161-170】
指先が触れて、目と目が合って(そうして口付け交わすのさ)
寝台の上の告白はうわ言のごとく
エロスは躊躇いもせずに弓を引いた
左手の中指を突き上げて叫んだ(ファック・ユー!、ってね)
遺言状が届きました(何だ、ラブレターじゃないのか)
シーサイドでスイサイド
なあ、君の血の海で溺死させておくれよ
カクテルグラスに注がれた媚薬
荒野に真っ赤な雪が降る
ごめんね、もういっしょにいられないみたい
【171-180】
壊しても、手に入れたかった(壊れても、手に入るなら構わなかった)
暗闇にアマリリスが散り逝く様に
跪いて手の甲に金傷を刻み付けた(これで君は僕のもの)
愛を囁かれただけで孕みやしないかと危惧してしまう程、
三部構成のトラジェディー
辿り着く先は皆同じ(蛋白質その他諸々の塊に戻るだけですよ)
隠した色欲は尚も滲み出るもので
ヒーローなんかじゃない(笑わせるなよ、ヒールの間違いだろう?)
塩酸の海に沈没
薄汚れた純粋などいっそ失却してしまえ!
【181-190】
貫き通されたニル・アドミラリ(せめて一度位は応えて欲しかったわ)
コケティッシュに鎖骨を撫で上げる
おまえの ちは なにいろだ!(知りたきゃ腹かっさばいて確かめてみれば?)
彼女は情事の最中にさえ物思う(どうせ、すぐ何も考えられなくなるくせに)
涙も声も枯れ果てたその後で
丈は膝上五cm、けれどもスリットは十cm(おいおい、誘ってんのかよ)
されど娼婦は今宵も腰を振る
空気さえも罵倒した(気に入らないのよ、全部、何もかも)
刹那の快楽に魅せられて、
後生だから、もう謝らないでくれ(俺が惨めになってしまう)
【191-200】
空を仰いで、手を伸ばして(それでも届かないと知った時、君は、)
弓形に反って、昇天
破瓜したサンタ=マリア(聖母が聞いて呆れるわ)
未完成のピエタ
九十五%の愛と五%の殺意を以て
夕陽色のガーベラを飾ってあげる(勿論、貴方の墓標にね)
鶺鴒が尾を振った
愛していると言ってよ(嘘でも良い、から)
もう何度愛を囁いても君は応えてはくれないんだね
僕が本当に欲しかったもの(二度と手には入らないけれど、)
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