【751-760】

どうやったってラナンキュラスにはなれない

握り潰した友愛の色は、

解けぬよう 紅い針金 縛り付けて

微睡の中に君を思い描く夜明け前

あの御仁はさぞかし惨い死に方をしたのでせうね

物言わぬ 墓前の少女

紫陽花の青を悲哀に溶かして、

下腹部を伝う汗は苦い

軋む心に、"愛"というオイルをください

午前三時、崩壊する夢の浮橋


【761-770】

深淵に朱の霧雨が堕つ

響きを忘れたカンパネッラ

胃液で盃を満たす

蜂蜜よりも甘やかな恐喝

底抜けのゴブレットに煩悩を注ぎ続けて

いっそ言う事を聞かぬ心臓は食べてしまおう

地底に埋めたい 生き恥

触れ合うに僕等の指先は脆過ぎた

クローゼットの奥に押し込んだ殺意

切なさ孕む 日曜日の王莽時


【771-780】

お下げのあの娘はファッション失語症

灰と化したポインセチア

かつて愛した女は 似非処女

一番星の眩しさに泣かされた、とある月半ばの夜

三大欲求が何とやら 真理は色気より食い気

愛しのリシャール、次はあなたの葬儀にて再会しましょうね

今日、羨望は老いた母と共に亡くなりました

君の優先順位最下位

瞳に浮かぶ月だけを愛した

僕の恋は何時もエチュードから先に進まない


【781-790】

「左様なら」の接続詞に続く文章は、

正しい愛し方など、誰の言葉で言い表せるものでもないだろう?

緞帳を切り裂く剣先の なんと紅いこと

アンタの事は一生理解出来ないし、アンタも私を理解しなきゃ良いと思うよ

水泡に紛れて沈み逝く 彼女の悲鳴

二番目の原子と理屈は仲が悪い

化粧を纏う女子はまさしく「化生」

鳶色の衣手に覆い隠されたベガ

咽喉が嗄れて 涙が枯れても それでも、僕は

何時の間に紛れ込んでくれたのだろうね


【791-800】

イカズチと同じ速さで駆けたかった

八月は素直じゃないから、拗ねているだけだよ

たとえ百万回の輪廻を繰り返したとて、

「ちょうど今、現世に不採用通知を出したところです」

それはかつて密かに したためた慕情

神よ、私は祝福の火に灼かれ息絶えたいのだ

代償に君のその×××をいただこうか

清らな心を持った御前の骨は心にもそして肌の色にも負けず劣らず白く美しいのだろう

アルビノ偏愛症

いっそ枷と成ってくれれば良いのに、



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