【1-10】
そういえば、あの日の別れ際もこんな風に空がしくしくと泣いていた
行く道を誤ったのは俺じゃない テメェの方だよ馬鹿女
何気無い日々の記憶は白いシャツに零した醤油の染みよりもしつこい
いい加減に綺麗さっぱり忘れさせちゃァくれませんか、御嬢さん
ようやく居なくなったと思ったら結局脳内に住み着くなんて困っちゃうね
おいアンタ、思い切りゴールから逆走してますよ
嫌いな祭りが二つ有る "血祭り"と"後の祭り"だ
何も守れなかった無力さを嗤う男は、かつての己だ
知らず踏み潰した勿忘草
届かない涙ならば早く枯れてくれ
【11-20】
美化は自重を知らない
ねえ、今はもう届く様になったのよ
お前本当に愚かだね まだ失くした想い出に縋って生きている
名前さえ忘れた女の微笑だけが目蓋の裏に焼き付いて離れない
幾年も前に繋いだ小指の感触を、未だ鮮烈に覚えている
いっそ幻影でも良いから だから夢なら覚めてくれるな
追い付けなかった頃とは脚の長さが段違いなんです
物事の終わりは皆一様に、果敢無さ切なさ寂しさを多く孕んでいるものだ
下らない意地も見え透いた強情もお前以上に必要なもの等、何一つ有りはしなかったのに
褪せぬ君への慕情と心中
あゝ 諸行無常の色恋よ
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