【601-610】

勝って嬉しい花一匁、負けても嬉しい花一匁

後ろの正面なんて何処の誰でも構わなかったのだ、と

おやまあ、童歌にしては随分と物悲しいメロディですね

いざ燃やし尽くせよ茶畑

ぐつぐつぐつ、煮えたかどうだか 否、煮えずとも

何時まで経っても出やがらない引き篭もりの鳥は夜明けの晩に死ね

飛んで火に入る哀れな鬼子よ

アンタ、底抜け鍋じゃあシチューは作れやしねえよ

転んだのは僕だった、手を差し伸べたのは君だった?

丑三つ刻、扉を叩くのは狐か蛇か、それとも


【611-620】

弱い弱い、僕の弱さに君は呆れていないかい

あのなア、色落ちなんて、いちいち気にしてたら際限無エんだよ

蔑んで嘲笑って踏み躙って、そして殺して

人生という名のゲームにはリセットボタンもセーブもロードもマルチ・エンディングも御座いませんので、御生憎様

枯渇したのは貴女の愛か、或いは己の恋か

蒼い眼をした人形はただただ、手を拱いている

御主人、そいつァ幾ら何でも虫が良過ぎるでしょう

名前も知らない、顔も知らない、声も聞いた事が無い、けれど

彼の背中は何時だって気高いままだった(私の手足は何時だって惨めなままだった)

再来年の夏に、君に一つ伝えたい事が有るのだ


【621-630】

いっそ、要らぬ世話だと言って何もかもを振り払えたら良かったのに

どうだい、共にあの蒼穹の果てを目指して飛ばないか?

異端の神を気取ったアウトローの末路

この町の空気は常に湿っぽいので苦手だ(そう思っていたのに、)

アクアマリンの彼方に消えた 愛しい人の残像

瞬きをした刹那、青い春は何処かへと走り去った

あの時、確かに僕の隣には君が居た筈なのに、今となってはまるで全てが幻だったかの様で

この世界に独り どの世界でも独り

誰も彼も、其処で哀しみに暮れ泣いていたんだ

暗闇にぼんやり浮かぶ、お前の真っ白い肩を齧ってみたい


【631-640】

近い内に華々しく復活する予定ですので、どうか一つ宜しく

体内を巡る君への底知れぬ劣情

濡れた睫を撫でて微笑む

ほんの数分前までは優等生を演じていたくせに

個人的に恋の味を教えて下さい、ねえ先生

まだ堕ちたくないと嗚咽する夕焼け

切なくて愛おしくて、これが恋の病というものなら、もう一生治らなくても良いと思えた

嗚呼、瞼の裏が灼けそうなのです(だから、早く灯りを消して頂戴)

こんな世の中、何時までも初心な女じゃいられない

貴方は何を夢見て、笑うのかしら(やがて目覚めて、現の何に泣かされるのかしら)


【641-650】

日曜日は殺されてしまいました

蕩けた眼差しの猛獣が舌なめずり

舞い散る血飛沫 着飾る彼の人

君よ、過去に棄てた無垢の事を未だ覚えているか

僕は、もう幾日幾夜も息継ぎの帰還を待ち侘びている

俤追いかけ一千年、これで輪廻は何回目?

とある黒猫と烏の密会

お前が死ぬならば、俺は喜んで棺桶になってやろう

優しく摘んだ花弁を今度は思い切り引き千切って、最後は崖下へ捨てた

咆える河川を往く無言の果実の醜さよ、



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