【551-560】

オルレアンの少女は最期の灰に何を見たか

何時か訪れる永訣の朝が重く胸を渦巻いていた

シャンソン・ド・ジェストの失われた結末(その終焉は何処に?)

噛み合わない方向性

ねえ、煙たいんだけれど、どうにかならないの

スカーレットの掌(どんなに洗っても、こびり付いた鉄錆の臭気は消えてくれなくて)

マイスウィートハート、どうかもう一度笑っておくれ

アウトバーストの足音はすぐ近くまで迫っていた

自由って言葉の響きが、どうも気に入らないんだよねえ(だって何だか、気持ち悪いじゃない)

現在恋心は家出中でして、果たして何時帰って来ますやら皆目見当も付かないのです


【561-570】

救いを求める仔猫の無垢な眼差しには抗えません故、

余りにも煩わしかったので、忍冬の蔓は全部切り落としてしまいました

お前なんかお前なんかお前なん、か(大嫌いなんだ、なのに何で、)

母なる大地に抱かれ眠る快楽

あの日、君がくれたブルースピネルの在処(多分もう、誰も知らない)

引き下がれないと頑なに意地を張り始めたのは、私と貴方のどちらが先だったかしら

そんな僕らの相対性理論

必死に人生のリセットボタンを探していました

くるり、振り向いた君の揺れる瞳に映る僕の顔は、(酷く、嬉しそうに歪んでいた)

三度目のループ・ザ・ループ


【571-580】

テトラポッドに頭ぶつけて死んじまえよ

天を仰いで大声で歌えば、それだけで何もかもを忘れられそうな気がした

君には一生理解出来ない感情さ(どうしても理解したいと云うなら、さっさと僕に殺されてくれ)

貴方がジェントルマン?笑わせないで

さて、どうやってころそうかな

君は僕を必要としているらしいけれど、僕は君に僕が必要だとは思わないから、

これから一番愛しかった瞬間に還ろうと思います(どうか、止めないで下さい)

この世は全て必然で成り立っていると、その時彼女はまるで自分自身の運命をも見通していたかの様に綺麗に笑っ、た

アンタは私の後ろでその御気に入りのキャンディでも舐めていなさい

そうして伸ばされた腕をすり抜けた


【581-590】

さあどうぞ、コラーゲンたっぷり眼球のソテーを召し上がれ(今なら鮮度は抜群よ!)

澱む眼差し、じわりじわりと肌を突き刺した

殺し殺され死に死なれ、自殺に追っかけ無理心中(誰も救われないし、報われない)

わらいたければ わらえよ

あの子の弔いには白菊の花を

鋼鉄の群の中に沈むは何時か夢見た恒久平和

聾唖者にメメント・モリは通じぬだろう

地に平伏して生きてゆくのが分相応なのさ、俺もお前も(平民はどう足掻いても絶対的君主にはなれない、そういうものだ)

濁流に呑まれた麝香連理草

平日の昼間から一人でキネマトグラフとは、景気が良いのか悪いのか


【591-600】

引き裂かれた純粋に向かって、唾を吐いた

最初から、分かって欲しいだなんて事は思っていない(ただ、せめて知っておいてくれたら、それだけで、)

ファストナハト誘拐事件

彼女は腐蝕しても尚美しい

古びた硝子匣にこびり付いた鈍い赤色

僕らは何時だって知らないふりをしていた、それはこれからも変わらないと信じていた(けれど、日常が崩壊するのは残酷なまでに突然で、そして呆気無かった)

ドッペルゲンガーと殺し合い

指先齧り、見上げた瞳は確かに狂気を孕んでいた

するとどうだろう、まるで霞が砕け散る様にして彼女は眼前から消え失せた

あくまでも保険ですよ、あくまでも、ね



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