苦しみに喘ぐ様子を見つめる 歪む表情、流れる涙 傷めつけられることでようやく泣けるなんて、冠葉はなんて馬鹿なんだろう 陽毬が入院する度、冠葉はこの家の時計をすべて止めて そのくせ自分は女の所に入り浸って フローラルやら、フルーティーやら、とにかく甘い香りを漂わせて 陽もとっぷり暮れた頃に戻る冠葉が 縋るように見つめてくるから、 だから、僕は (今日は、どうこっぴどく抱いてやろう) …僕は。