「望めば未来はそこに」
「諦めないで」
「努力し続ければきっと」
ありきたりともいえるフレーズを、恨み続けてもう何年になるだろう
ひしめく絶望は日に日に増していくばかりなのに
精一杯のあがきはどこまで通用するというのか
自分ではどうにももできない深く強い力にのみこまれそうな日々はどこまで、
頭の中をめぐるネガティブの応酬に見切りをつけ、晶馬はふと顔をあげた。
右側には冠葉、左側には陽毬。
あたたかい部屋と食事。
同じ空間に人が存在するだけで、別世界だ。
「幸せだなぁ」
そうこぼせば返る
「ねぇ」
「なぁ」
震えるピンセットの先端で、そうっとしまいこんでしまいたい。
晶馬はうっそり一人夢を見る。
【明日終わるものだとしても】