「…っ、今日はずいぶんときつくしめるんだね」
せっせと蔦を絡めていくうさぎ達に声をかけるが、
いつものような甲高い返事は返らない。
は、と小さく息をついた。
身動きもできないほどに絡まった蔦の棘が、不意に眞悧の肌を傷つけた。
「…っ」
うさぎ達は感情のない瞳でこちらを見ている。
それもそのはずだ。
僕はこの世界にただ一人なのだから。
ずっと一人だと思っていた。
彼女が目の前に現れるまでは。
けれど彼女は去って、僕の仲間にはならなかった。
同じ風景を見て、彼女は違う決断を下したのだ。
伸びてくる4つの小さな手が、眞悧の肌に触れる。
この痛みも、感触も、全て本物のようで本物じゃない。
僕だけがしびれない