この物語がどんな内容か大体わかるお試し読みきり『ハーイ☆私シベー!
現役ピチピチ魔女っ娘よ!
超名門のお嬢様校、聖アリス学園をトップで卒業したミラクル少女なの!!』
「・・・何よ、これ?」
ミラクル少女シベーが、地獄の底から響いてくるような声をもらした。
「いやぁ、最初の印象って大事だろ?」
ドヤ顔で自己紹介文を考えた男、ジークがうなずきながら言う。
「え?なにこれ、あたし?あたしなの?」
「そのつもりだ。」
さっきの文が書かれた羊皮紙を再度シベーは読み直した。
「違う。これ、あたし違う。」
すさまじい形相でジークを睨めつけながら否定した。
「そうか?あぁ、やっぱりそのピチピチ魔女っ娘と少女ってのがいけねぇんだな。どうみてもあんた、少女とかじゃないし。どっちかっつーと、あれか、女の形をした生きもn」
その言葉は、シベーによって振り下ろされた椅子がさえぎった。
椅子は、ゴッという鈍い音を轟かせ、ジークの頭に綺麗に当たり、よってジークは床とキスをするハメになった。
「はぁっ・・・はぁっ・・・」
それを見下ろしながら、シベーは息を整えた。
「あぁ・・・。大丈夫ですか?死体の処理とか面倒だから殺さないでくださいよ?」
そう声をかけたのは、もう一人の男、というより少年、レオン。
「だ、大丈夫だぜマイハニー・・・。心配サンキュー・・・ぐふっ」
最後の『ぐふっ』は、レオンがジークを踏みつけたため、漏らされたものである。
「やめてください気色悪い。いつも言ってますよね、僕はあなたのハニーになったつもりは一度もありませんしかも僕はノンケです。」
レオンは何度もジークを踏みつけながら言った。
そして、机に載っていた羊皮紙を手に取った。
「でも、シベーさんが少女じゃないという意見には同意します。ねぇ、シベーさん何歳でしたっk」
ゴッ
と、二度目の鈍い音が部屋に響いた。
「うるさいのよあなたたち!!」
シベーは怒りからなのか、恥ずかしさからなのか、顔を赤面させながら叫んだ。
「いってぇ・・・。」
頭と背中をさすりながらジークが椅子へ座りなおす。
レオンも両手で頭を抑えながら立ち上がった。
「痛いですよシベーさぁん・・・」
「知らないわよ。レディーに歳を訊くなんて失礼だわ。」
ふんっ、とシベーはそっぽを向いた。
「まぁでも、この紹介文は書きなおさねぇといけねぇよな。」
「そうですね。」
「ねぇなんであんたあたしの紹介文書いてんの?」
「ピチピチっていう表現はもう古いですよ。」
「そうか?」
「あと魔女っ娘じゃなくて大魔王いえ何でもないですすみません。」
椅子を構えたシベーを見て、レオンは発言を撤回した。
「・・・よし、これでどうだ?」
『グハハハハ。
我は大地を支配する大魔王シベーだ。』
その後、鈍い音が部屋に響いたのは、言うまでもないだろう。
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