ろぐ
「甘やかしすぎたなぁと思うわけだよ」
ぽつりと放たれた言葉は、賑やかなテレビの中の笑い声と共に鼓膜に届いた。
「今更だろ」
俺の声も、テレビの中の芸能人の声によってぼやける。
音量上げすぎなんだよ。
テレビの音量がでかいから必然的に会話する声も大きくなって、ただの悪循環だ。寝起きから疲れる。
目の前に転がっていたリモコンで音量を下げて、そのついでに炬燵の上に無造作に積まれたみかんをひとつ手に取った。
親指を指すと、柑橘系の爽やかな香りが鼻腔を擽る。
このだらけきった空気の中には、なんとも不釣り合いだ。
「俺今日休みだったから、気抜いてたわ」
「同じく」
「でも、こいつ学校だよな」
「水曜だからな」
エースと二人して呑気に大口を開けて爆睡する末の弟を眺めて、漏れるため息。
時刻は午前10時。
外の天気は快晴で、滅多にカーテンを閉めることのない窓からは燦々と輝く太陽が見える。
「とりあえず、叩き起こして今からでも学校行かすか」
「完全遅刻だけどな」
「…もういっか」
「もう何度目だろうな、これ」
「知らね。数えてねぇし」
だよな、と頷いて笑ったら、炬燵の天板に顎をくっつけたエースも同じように笑った。
開き直ったらとことん最後まで。
「甘やかしすぎたなぁ」
「かわいいから仕方ねぇよなぁ」
2個目のみかんに手を伸ばす。
みかんより肉が食いたい、と呟いたエースの足を蹴ったらなぜだかルフィが痛ぇと叫んだ。
…蹴る足を間違えた。
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12.02.01
大学生サボとフリーターエースと高校生ルフィを目指した結果。