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「おい、てめぇ何やってんだ」
何も予定のない休日。
この男は突然現れ、そして勝手に部屋にあがりこみ、俺の背後に張り付いた。
「うるさいな、そんなの俺の勝手でしょ。しずちゃんに関係ない」
「この状況で関係ねぇとは言わせねぇ。殺すぞ」
ふぅ、と白い煙を吐き出す。
決してきれいとは言い難いその煙は、部屋に充満し、毒になってこの空間に漂い続けるのだろう。
灰皿に短くなった煙草を押し付けると、ぴくりと俺の腹に回った臨也の腕が反応した。
そしてぎゅうと、抱きしめる力が強くなる。
その強さで俺が縛られるとでも思っているのだろうか。
こいつの行動は何一つ理解できない。
したいとも思わない。
それなのに。
「おい。準備しとけ」
「…何を」
「煙草一本分待ってやる」
体に毒を吸いこんだら、正面から痛いくらい抱きしめてやるよ。
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10.04.01