「ッ、んぐ……んっ…、…」
「痛い?可哀相に」
俺はシズちゃんが好き。
もちろん恋愛感情として。
でも俺の愛はちょっと狂っている。
自覚があるがこれは俗に言う狂愛ってやつ。
俺はシズちゃんを愛してる。
それはそれは、彼を殺したいくらいに愛してる。
でも殺したらシズちゃんはいなくなっちゃうから殺さないだけ。
それくらい俺の頭はイカレテいる。
今もバイブ突っ込まれて猿轡の中で苦しそうにうめくシズちゃんが愛おしくて仕方ない。
前は力強すぎてこんなことできなかったけど最近海外から裏ルートで密輸された筋肉弛緩剤みたいなのが見事に効いてくれて、彼の動きを封じるには普通の縄で事足りる。
多分普通の人間に同じ薬を同じ量で使ったら心臓弛緩して一発で死ぬだろうってくらいの量を飲ませているから、やはりシズちゃんでもなかなか危ないようだ。
こんな状態で弄ばれるなんてきっといいことじゃないんだろうけど、やっぱり楽しいからやめられない。
「シズちゃん痛いの好きだもんね。こんだけバイブねじ込まれてるのにちゃんと反応してるもの。あはは、淫乱だ」
「ふ、…ん、ぐ…」
何か抗議しようと睨むシズちゃんの瞳は涙で酷く濡れて、威力は半減している。
それでもわざとらしく、怖い怖いと肩を窄めてバイブを中から強にしてやれば、膝立ちさせたシズちゃんの足ががくがくと震えた。
悲鳴のようなシズちゃんの嬌声にぺろりと乾いた唇を舐めて、椅子の背もたれへ身体を寄せた。
ぎしりと音を立てた黒い椅子は俺が後ろへ仰け反った勢いのままほんの数回キャスターを回す。
からら、軽い音がフローリングの床に響けば、はたはたと根元をきつく結わかれたシズちゃんの性器の口からだらしなく先走った液が涎のように落ちる音がする。
俺は椅子に座ったまま、床に膝立ちさせたシズちゃんを眺めた。
どうしようもなく、淫らな、そんな光景にくつ、と喉がなる。
愛してるんだよ?、そう言えばシズちゃんは首を横に振った。
わかるよ、だってこれは本当に愛している人にはできないことだよね。
でも、それは一般的に言ってなんだよ、残念ながら。
俺に愛されてしまった時点で君がこうなることは決まっていたの。
そんなことを思って
ふと、気紛れに裸足の片足を伸ばしてシズちゃんのそれをなぞってみた。
「んん゙ッ、ぅ、ぐ――ッ!!」
「あははは!シズちゃんが苦しんでる!…可愛いなあ、君は本当に。よく我慢したね。ご褒美に猿轡取ってあげるね」
強のままだとシズちゃんが暴れるから、バイブを止めて猿轡を外してやる。
「は、ぁ…いざ、や……外して。も、無理…」
「今猿轡取ってあげたばっかりなのにまた?駄目だよ。まあ、その代わりこっちは替えてあげる」
「かえてって、あ、んんっ」
ずるりとバイブを抜いて立ち上がるとシズちゃんの後ろへ回る。
振り返ったシズちゃんの髪を少し乱暴に掴んで床に押し付けた。
起きちゃダメと耳元で呟いて、自分のズボンを下ろすと、シズちゃんの後孔に後ろから一気に自分のそれを突っ込んだ。
弛んだそこはずぷんと一回で俺の性器を銜え込んで。
「あっぐ、んんっ…ふ、いざや、あ」
「なーに、シズちゃん。舌噛むよ?」
シズちゃんは縛られた手で床にすり付けていた頭を起こして、俺に振り向いた。
がくんと突き動かせば、ひゃうと女のような甲高い声が聞こえて楽しくなる。
突き上げて突き上げて
シズちゃんのナカが、
シズちゃんの身体が、
シズちゃんの心が、
シズちゃんが、
シズちゃんが、
シズちゃんが壊れるように
俺がシズちゃんに恋われるように
何度も何度も突き上げては、俺はにたりとほくそ笑んで。
耐えられない、耐えきれない。
シズちゃんの嬌声にドクン、ドクンと心臓が鳴く。
ああ、好きだ。
シズちゃんが好きだ。
「う、ぁっはあ、あ」
「あははははっシズちゃん可愛い!あはは、あははは、シズちゃんが、シズちゃんが女の子みたいな声で鳴いてやんの!やばい、やばいなあシズちゃん。本当に好き」
「っあ、ぁ、う、嘘吐け、んんっ」
「嘘じゃない、嘘じゃないよシズちゃん!君が、君のことが、好きで、好きで好きで好きで好きで好きで好きで、大好きで。頭おかしくなりそうなんだよ、ねえシズちゃん」
シズちゃんの顔は見えない。
だけどきっとまた眉間に皺寄せてるだろう。
どうしてわからないかなあ。
こんなに好きなのに。
どうして疑うかなあ。
汗ばんだ背中に口付ける。
残った紅い跡に気分が良くなって、何度も何度も口付けた。
腰を抱いて、抱き締めて、
肉のぶつかり合う音が、無機質な俺の部屋に響き渡る。
シズちゃんの白い背中に、ぼたぼたと汗が落ちた。
「はあ、シズちゃん。終わりにしようか」
「う、ぁっああ、あ、あ」
律動を早める。
するりとシズちゃんのはち切れそうなそれを結わいていた紐をとって、そのままがんがんと突き上げればシズちゃんが先に果てた。
滴り落ちた精液は、
ぼたぼたと、俺の汗に似て。
競りあがる、身体中の血が沸き立つような、
どくどくと、放った欲をシズちゃんのナカへ注ぎ込めば、目の前がぱちぱちと弾けるように眩んだ。
重怠い下半身を、ずるりと引き抜いて、
どさりと倒れるように椅子に座った。
ぎしりとまた椅子が鳴く。
ぼろ雑巾のようにシズちゃんは倒れこんで、浅い息をしていた。
ぐったりとしているシズちゃんはまるで死体のようで、椅子をがららと滑らせて傍らまでいくと足で肩を押して顔を向かせた。
虚ろなシズちゃんの表情にぞくりと身体が震える。
ああ、たまらない。
そんな征服感に酔って俺はまた背もたれにもたれた。
結わかれた両手首にはほんのりと血がにじんでいる。
だけど縄は外さなかった。
だって外さなくてもそのうち薬の効果切れてこんな縄なんて簡単に引き契っちゃうんだから。
だけど
「シズちゃんはまたこうなるよ」
どうせもうシズちゃんは
「シズちゃんはもう俺なしじゃ生きられないの」
俺の物。
くつくつと笑う俺を知ってか知らずか、
シズちゃんは大きく息を吐いた。
(大好きなんだ)
(こんな事実)
(俺にしたら虚構でしかない)
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ああ、鬼畜モノたまらん←