擦れ違っていた。

それはどこまでも、

絶対に交わらないねじれの位置在ったというのに


なのに、俺たちは交わった。

捻れて捻れてそれをまたひんまげて


俺たちは、






「っ、はいったぞ…」


「ぅ…んっ……はあ…」




臨也はこくこくと首を縦にふって、涙目で俺を見上げた。

ああ、愛しい

どうしようもないくらい、この人間が



腰を動かせば臨也の声もついてきた。
短い甲高い嬌声とくぐもった恥じらう声にもっと泣かせたいとそんな残虐なことすら思う。

突き上げて、

掻き抱いて、

口付けて、

好きだと、呟いて


俺はまたお前を傷付けるだろう
今日みたいに、いつもみたいに
だけどそれでもお前を手放せないのは、
お前が一緒にいてくれるのは、
何故だろう、わからない。
けど、それでも愛してる。
理屈なんていらないから、
だから、傍にいたい。




臨也、





呼べば潤んだ瞳と目があった。

ああ、畜生

好きで仕方ない。






「ひ、ぁっん、んっ、シズちゃ…」


「…は……臨也、…」





臨也の雌豹のようにすらりとした両の腕が、俺の首に絡み付く。
がくがくと揺れる視界で、臨也はぎゅうと目を閉じて


そしてまた、そっとあけて




伏せ目がちに臨也が1つついた大きめの吐息になぜかぞくりと欲情した俺は、その切れ長の瞳を隠した目蓋にそっと口付けて。





軋むベッドのスプリング音の遠くに、波音が聞こえる。
そんな耳をそばだてたつもりはなく、むしろ臨也の嬌声に夢中になっている、俺はそんなただの変態でしかなく。



なのに波音は聞こえてきた。




優しく、子守唄のように、
こんな激しい事象を誤魔化すように、
こんな、こんなはち切れそうな愛情を包み隠すように、
波音は変わらず唄のように。




愛だの恋だの


それを妄想と名付ける人間もいるだろう。
恋愛なんて一時のノリとテンションだと。

だけど、
俺はそうは思わない。
そんな難しいこと、俺は考えていない。

ただこいつが、好きだ。
好きで、
好きで好きで、
好きで仕方なくて



溢れる想いは、もう随分前から掻き集めるのすら止めていた。
無駄だったのだ。
そんなごまかしなど、誰にも通用しない。
ましてや臨也なんかに、通用するはずがなかったのだから。






「あ、ぁ、んぁあっシズちゃ、もっぁ、でる」



「…、わかってる。
いざ、や…臨也。

好きだ。だから、傍にいろ」



「……っちの、セリフだ。ん、ぅあ」








胎内で果てて、粗い臨也の呼吸を聴いて、

臨也の精液でべとべとになった腹を軽く拭ってから、ずるりと自身を抜いた。



ぱたりとベッドに倒れこんで、射精後の重怠い陶酔感に酔って、ふと目を閉じた。

は…、は…と短い呼吸にああ疲れたなんて思ってごろりと寝返って目を開けた。


ぐったりと横たわる臨也が目に入ってそっと前髪をよせてやれば、なあにと擦れた声がこっちを向く。
ほとんど何も考えないまま頭をくしゃくしゃと撫でて、ふと笑えば臨也が驚いたように眼を丸くして

「シズちゃんがそんな顔できるなんて知らなかった」

なんて驚くもんだから、何だとと顔を顰めれば、あーと勿体なさげに臨也が声を上げる。


また眉間に皺が寄ったとくにくに眉間を人差し指で押す臨也の頬を撫でていたほうの手でぶにーと摘んだ。
痛い痛いと喚く臨也がとても面白くて



「はは」


「あ、シズちゃんが笑った」







思わず声をあげて笑っていて。

そしたら嫌味も言わずに臨也も幸せそうに笑うもんだから
もう、いいかなあなんて突然思って、


臨也が好きでもいいかなんて多分初めて素直に思った。




「臨也」


「んー?」


「あとで温泉行くか」


「うん……あ、でもシズちゃん以外の人に裸見られちゃうね。しかもシズちゃんが中出しするからださなきゃだし」


「あー…そうか。それは嫌だな」


「うわ、シズちゃんがジェラシーってる。気持ち悪」


「うるせえ。手前あとで覚えとけよ?足腰立たなくなるまできれいに掻き出してやるからな」


「おー怖い怖い。シズちゃんでもそれ結局また中出しするじゃん」


「するな」


「意味ないねえー」


「ほっとけ」






うとうとし始めた臨也を抱き締めて、俺も目を閉じた。



近づいた波音の唄に
ああ静かだとか思って



すーすーと寝息をたてはじめた臨也をもっと強く抱き締めた。









――――――――
湘南でしょうか?
海行きたいなあ…

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