※4話の終わりの流れで片桐に臨也がひどい目にあわされている

※鬼畜、痛い







*









喉が痛い。

悲鳴をあげるように喘いだ…否、あれは喘ぎなどという生易しいものではなく、


絶叫、
耳を塞ぎたくなるような、
そんな、くぐもった悲鳴で



猿轡をかまされて、ロープで後ろ手をぐるぐるに結わかれ、数時間前に飲まされた媚薬に未だに悶絶している。
既に2、3度体内に欲を出され、自分も一体何度吐いたかわからない。


約束通り、片桐の抱き方はそれはそれは乱雑だった。
そう、約束通り。

噛み付かれた首筋は鬱血し、身体の至るところに残された赤い跡に、ふと目をそらしたくなる。
結わかれた手首は擦れて赤くなっているだろう。
ひりひり痛い。

頭も痛い。

媚薬のせいだろうか。
わかんないけど。


とんでもなく乱暴にされているのにとんでもない快楽に襲われる。


でも、ただ、気持ち悪い。

違和感。
そう、凄まじい違和感に、思わず嘔吐しそうになるほどの気分の悪さに襲われるのだ。

それは、今も後孔にバイブを突っ込んで乱暴に掻き混ぜながら、たははと笑う彼にむいているのか、それともそんな状態自体にむいているのか、むしろ自分にむいているのか



それはわからない

わかんないけど、もう、




「ん、ん"ん"――!!んっ、」


「たはははは!いい眺めだぞ、折原!本当にこれでよかったのか?俺は別に優しく抱いてやってもよかったんだぞ?―――――なんて聞いても、答えられねえか」


「ぐ、ぅ、っん―――っ!!」




びくびくと、もはや出もしない精液に、身体が軋む。
イきっぱなしの様な状態のなかで、片桐はバイブを更に突っ込んで、しかもスイッチを強にした。


がくがくと視界が揺れる。
がくんと反り返った背中に、うめき声もでずに、ただ枯渇した筈の精液が申し訳なさ程度に1度伝うように溢れた。



「んぐ!?ん"っんん"―――!!!」



そんな状態の中で片桐は媚薬のせいで無理矢理勃たされているそれを口に含み、容赦なくずるずると吸い上げる。
跳ねる身体はベッドを軋ませただけで、逃げることも叶わずに、気が狂わんばかりの快楽を与え続けられている。
視界が奪われていないのがまた、逆にその光景をまざまざと認識させられる羽目になって、堪らなく苦痛であった。

びくびくと出ないものを出し続ける俺の身体は、多分もうだめなんじゃないかと思って。


ぼろぼろあふれる涙は悲しいとかそういうものではなく生理的な涙。

抵抗しても無駄なのはわかっているが、唸りながらぶんぶんと首を横に振る。




「嫌か?嫌なのか?お前が言ったのにな。恨むなら、自分を恨めよ折原」

「ん、ッ、ぐ」



そんな状態ですら、瞼の裏から、あいつが消えない。

目を閉じて、俺をこんなふうに抱いているのがあいつだったならとか、考えると、急にこの行為が意味を持ち、すごく気持ち良くなる、のに。

消えなくて、消えなくて

思わず猿轡をいい事に1度だけ、

(助けてよ、シズちゃん…)

なんて無責任なこと呟いてみた。
ああ、最低だ。俺は、最低だ。

なにやってんだ。
なにやってんだ、俺。


片桐は、ベッドの上で犬のように這いつくばり、バイブを埋めた俺を眺めている。
しかも背中で両手を縛られているために、ベッドに頬をすり付けるような体勢になってしまうから、息苦しさに少しでも楽な姿勢を探して身を捩った。



「たはは…ああ、全部とってやるよ、折原」


そういうと急に俺の猿轡を外し、手首を縛っていた縄をほどき、体内で暴れ回っていたバイブをずるりと抜いた。



「――――っあ、あ"っぅ…」

「しっかりしろよ」



笑う片桐は本当に柔和な雰囲気を放っていた。
少なくとも、自分の意志でこんなことをするような男では、ない。


もしかしたら俺は片桐にかなり酷な頼みをしたのかもしれない。
片桐自身が言ったとおり、優しく抱こうと思ったなら、いくらでも優しく抱けるのだろうし、俺がこんな約束をしなければ多分そうしただろう。




俺は、自分でこの道を選んだ。
この期に及んで、俺は逃げ道を用意している。

問い詰められたら、無理矢理されたのだと、言い張ればいい。




ああ、どうやら俺は想像以上に最低らしい。




それに、問い詰められる?
誰に?

新羅か?

それとも、





そんな浅はかな期待をしている俺に、なんだか酷く悲しくなって、でも悲しいとか、そんな自己防衛的な気持ちではなくて、俺は、結局、こんなにも







でも、言葉にはしない。



汚いから。






「っつああ、あ"あ"!!」


「――――はぁ、っ……」





ぐんと押し込まれたもう何度目かもわからない片桐のそれ。
よく俺なんかに萎えもせずにそう何度もできるなと頭の片隅で思ったけれど、
がくがく揺さ振られる快楽に破裂したように頭が真っ白になる。

ああ、もうこのままいっそ死んでしまえたらいいのに。
なにもわからなくなって、消えてしまえたらいいのに。
脳裏によぎるあの顔が、俺を追い詰める。
追い詰めるんだ、あんたの、その、顔も、声も、あの、煙草の匂いも、もう、忘れたいのに。どこかへいけよ。いってくれよ。

忘れたいからこんなことしてるのに。


忘れたい、から、






ああ、ごめん、




ごめん、ごめんね







あふれた涙は、

謝罪のそれで。




ごめん




ごめんね、シズちゃん



俺は自分だけじゃなく、あんたも汚したんだ

忘れたい一心でやってしまったこの過ちが、あんたのことまで、汚したんだ


バカだ
バカだ、俺は、バカだ






「ぅ、あっああ"あ"!!」



「折、原っ…ん、…―――臨也っ」







ぞくりと、背筋が凍るように冷えた。
そんな名前を呼ばれただけで、まざまざと蘇る。



シズちゃん、



『臨也』



シズ、ちゃん


聞こえたのは、過去の声?妄想?

ああ、でももしかしたらもう、二度と俺の名なんて



『臨也』



声が蘇る。

褪せることなく、鮮明に






シズちゃん、シズちゃん

シズちゃん

ああ、本当に



「…っあ、ぁ"、……ん、」


「……っ?臨…「っちゃ、ん…シズ、ちゃん、シズちゃんっ、う、あぁ、あああ!!」








俺、何を言ったんだろう。
混濁しはじめた意識に、自分の吐いてる言葉の意味すらわからなくて、

それなのに、片桐ははっとしたように、何故か泣きそうな顔をしていた。
そんな顔だけが、妙に、強く残って






「っあ、ぅあああ――――っ!!」


「――――、っ!」





突きこまれた片桐のそれから、何度目かの熱い欲がどぷどぷと注ぎこまれる。








片桐の手が髪を撫でる。

ぽたりと顔に落ちてきた水滴は、
多分、汗。
そのはずで。







「臨………、っ…折原、―――折原…ごめん、こんなつもりじゃ…、」







そんな声を聞いた気がして
俺は片桐に繋がったまま抱き締められて、そのまま気を失うように眠りについていた。














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