「でもデリ雄ー」

「んー?」

「俺、男だぞ?デリ雄も♂だろ?」

「人を動物みたいに言うな。俺だってきれいなお姉さんのほうが好きだわ」

「あんなのできるのか?あんな、ずぶしゅってなってぐちゅーんって感じなこと」

「もうやめろ、なんか恥ずかしい」



というわけで、ソファーの上に組み敷いたまではよかったのだが、よく考えたら日々也は今から自分の身に何が起こるのか全て把握しているわけもなかった。
王子は上にいるべきだろと不満を言う日々也を宥めて、はてどうしたものかと考え込んでいる。

へたに手をだして


「王子に、な、なんてことすんだ、この変態!」


とか言って嫌われたくもない。
だからと言ってここで引き下がれるような状態ではない。



「なあ、日々也」

「様つけてよ。ん?」

「お前、射精ってわかるか?」

「シャーペイ?」

「それ犬」

「おお、シューマイなら俺も好きだぞ!」

「そういうベタなボケかますのやめてくれるか?さばけない」






本当にわかってんのかこいつ。
やめとくべきなのか。あーでもそれじゃあ多分未来永劫できねえな。っていうか俺は今何しようとしてんだ?よくよく考えたら相手は日々也だそ、日々也。

なんでこんな、やる気(性的な意味で)になってんだ?俺。


日々也に好きだっていわれたから?
いや、相手はただのバカだぞ。そんなの鵜呑みにするほうが間違いだ。
好きなんて日々也はきっと俗世のうまいもんだくらいにしか思ってねえだろ。
あ、でもさっきちょっとならしたかったってデレたよな、日々也。
…………わけわかんねえ。てかそれくらいで欲情する俺もどうよ。



「日々也、……様?これから何されんのかわかってる?」

「知らん!」

「…………はあ、お前マスターとアダルトビデオ見てたんだろ?その内容と同じことだよ」

「尻ひっぱたくのか?」

「あ、そんなSM臭のするビデオ見てたのかよお前ら。ちょっと見たか……じゃなくて、まあ、さっきお前も言ってたろ。なんか、ずぶしゅとかなんとか」

「おお!あれをするのか?」

「おー、そうだ。やっと会話になったな」

「でもあれ女だったぞ?」

「……だめだ、これ以上言っても無駄だと気付いた。…日々也」

「様つけろ。……ん?」

「嫌だったらちゃんと言えよ?」

「王子に嫌なことなんてないのだよ!」

「………こういうとこが心配なんだが…」




諦めてそっと唇を重ねた。拒絶はされなかったから、ああ、大丈夫なのかなと勝手に自己解決した。
触れるだけ、それだけですぐに離して、吐息の混じる距離で名を呼べば、また耳まで真っ赤にして睨み付けてくる。

なんか可愛い。
嫌かと尋ねれば、「嫌だなんて言ってない」と一言。
まあこれはよかったの裏返しだな。ここでよかったなんて言われたら日々也らしくもないし。

もう一度、今度は噛み付くようなキスをする。
少し驚いたように日々也は身体を強張らせたけど、触れる唇の隙間で大丈夫と言ってやれば次第にそれも解けていった。鼻を抜ける甘い吐息。それが日々也のものだと思うとなんか不思議な感じがした。
薄い唇から舌を滑り込ませて、歯列をなぞる。ずいぶん大人しいな、気持ち悪い。



「んん、……んー、」

「は、ぁ」




ずるりと、抜けた舌からは唾液が糸を引いて、は、と息をつけばそれはあっけなく切れた。



「……あ?……あ!?日々也!?おい!!」

「う………」




きゅーと目を回した真っ赤な顔の日々也は、どうやら息を止めていたようで
そりゃあ酸欠にもなるわ。
息はしてていいんだぞ、と言えば恨めしそうに俺をにらむ。涙ぐんで、顔も真っ赤で、唇はてらてらと唾液で濡れて口の端には溢れた唾液。
ああ、なんか卑猥だと妙に冷静に思う。そのわりにそれにすらどきどきとしている心臓が俺の中にあった。

親指でそれを拭う。
静かなわけだ。本当に文字どおり息の根止まりかけてたんだから。


「日々也、やっぱ、やめといたほうがいいか?」

「…………」

「だって、やっぱこういうのって、異性間でやるもんだし、辛いのはお前だ。それに、俺、お前のことまだ好きなのかもよくわかんねえよ」

「………デリ雄」

「あ?」

「デリ雄は、俺のことキライじゃないんだろ?」

「キライじゃ、ないけど」

「なら」


首にしなやかな腕が絡み付いてくる。ぐい、と身体を起こして、顔も、ぐんと近づいて
にっと、子供のような純粋な笑顔で笑った。


「なら、俺は大丈夫だぞ!デリ雄だって俺が好きなんだ!俺だってデリ雄が好きなんだ!好きならああゆうことするんだろ?それにデリ雄とちゅーすんのはキライじゃないぞ?臨也とか静雄とかサイケとか津軽とか、あいつらじゃなんか変な感じがするけど、デリ雄とならいいかなって思う。デリ雄が何しようとしてんのかはよくわかんないけど、俺は王子だぞ?デリ雄がしようとすることくらい全部まとめてどんとこいなんだ!」




ああ、そうか

こいつ、バカだけど
本当に俺のこと好きだって思ってんだな。
それがどういう意味の特別かはわからないけど、今、ふと俺の心に浮かんだ感情と同じなら、

そうだったなら、嬉しい




「……くっそ、」

「む、……苦しいぞ、デリ雄」

「そんなの、反則だ」



ぎゅうと抱き締めて、思わず笑ってしまった。

なんなの、こいつ。超可愛い。

ああ、好きだ。
多分、好きであってる、この気持ちは。こいつバカだしどうしようもないくらい高飛車で偉そうだけど、でも、それが日々也だ。それが、日々也なんだ。
きっとこれでいいんだ。




「………やるぞ」

「おう!」

「わかってんの?」

「知らん!」

「……………だからな、」

「ん?」

「俺も、日々也も、お互いのこと好きなんだって確認すんの。だから無理させたくねえから嫌だったらちゃんと言うんだぞ?」

「んー、やってみて考えるぞ」

「ん、」


唇を重ねる。そのまま、またソファーに押し倒して、片手を服の隙間から滑り込ませた。腰のあたりを撫で回せば、こそばゆそうに身体をよじらせていた。

呻くようなくぐもった嬌声が口内に響いて、どうしようもないくらいに欲情して。
身体を撫でる手を次第に上へとずらして多分今まで触れられたことのない胸の尖りに触れた。



「ん、んッ、デリ、お」

「ん?」

「や、ぁ、なん、か、変な、こえ、ッでる」

「嫌か?」

「いや、なんて、って、ない」


唇を引き離せばそうやって駄々をこねるみたいな声でそんなことをさらりと言うから、やっばいなとか見えないように苦笑して、日々也の服を脱がしていく。
指先で弾くように愛撫を加えれば、そこはわかりやすく突き出して、感度も増していってるんだろう、時折逃げるように身体をよじった。

露になったそこを舌先で突く。
ひくり、と喉がなって、華奢な背筋がかくんと反れた。しなやかな、それは首に絡んでいた腕と同じくらい、しなやかな体躯。


「ぁ、ッ…は、…」


この世界で俺しか知らない、高飛車王子のこんな顔。俺しか知らない、


ちゅ、唇がわざとらしい音をたてて離れた。
またソファーに沈んだその身体に、ふ、と笑みを溢せば笑うなとふてくされたように、どこか気まずそうに、そんな言葉が鼓膜を揺らす。

触れるだけ、キスをして

首筋に、鎖骨に、胸に、腹に、全部、全部にキスをして、日々也の身体中に残った赤い跡。それは、紛れもなく俺がつけたもの。



「日々也、」

「ん、……何」

「これ、俺のだって印だからな」

「…………?」

「他の奴とこういうことすんなよ?」

「やっぱバカだなあ、デリ雄。こんなのなくても、俺はデリ雄とじゃないとしないぞ?」

「………なんかもうバカでいいや」




だめだ、こいつ
無自覚だから余計にやばい。

は、と息をついて
下も脱がすからなと言えば、急に手を掴まれた。



「ぬ、ぬぐのか?」

「そりゃあそうだろ」

「な、ななん、なんだ、なななんか、急にこう、ど、どぎゃーんって、感じになッ………あ、…」

「大丈夫だ、」

「デリ、お……」

「俺もちゃんと、好きだから」




ゆっくり、服に手をかけて

こくりと日々也が息を呑む音がした。
そんな緊張しなくていいのにと思いながらも、ああ、緊張してるのは俺のほうかもしれないなんて思って、
ぎゅうと、目を閉じた日々也の額にキスをした。
それでも嫌だとは言わなかったから、かまわずに下着ごと服を脱がせた。



「ふ、ぁ……あんま、見んな」

「はいよ」

「…む、………ッあ、ん、やぁッ」



固く立ち上がる性器に指を絡ませて扱き始めれば、先端から溢れた液がぐちゅぐちゅと音をたてる。
ワイシャツの胸元をキツく掴まれて、一応、嫌かと聞いたらふるふると首を横に振った。

一回イかせといたほうがいいのかな
いや、でもさっき射精もわかんなかったし、こいつ、イったことねえんじゃ………

いや、日々也とはいえさすがに…………あるかも



淡い不安感を拭えないまま、手は動かして
喘ぐ日々也の甘ったるい声に、バカみたいに揺さ振られた。



「い、ぁん、んッ、で、でり、お」

「ん?」

「な、なんか、あんッあ、や、ぁ、なんか、へんなかんじッ、する、」

「嫌な感じ?」

「いやじゃ、ない、んんッ、ふ、あ、けど、」

「けど?」

「なんか、でる、かも」

「ん、我慢しなくていいからな」

「え、でも」

「大丈夫。信じろって」





言えば、控えめに頷いて、ワイシャツをつかむ手をもっと強く握り締めた。
卑猥な水音は室内に響く。少し扱く手を早めたら、びくりと華奢な体が跳ねた。


「ぅ、あっ、あッ、でり、お、んんッでる」

「うん」

「あ、あん、や、ああッ」





びゅくびゅくと、あふれた精液が飛沫した。
しゃくりあげるように喘ぐ日々也の頭をぼふぼふと撫でてやる。

俺の服が汚れてるのを見つけたからか、少し不貞腐れたような声が口を割って出た。




「……でるって、言ったぞ」

「言ったなあ」

「お、俺は、悪くないぞ?だって、デリ雄が、我慢しなくていいって」

「怒ってねえよ。……やっぱ初めてだったのか?」

「え?」

「イったの」

「……この、白いやつ出したの?」

「おう」

「んー、臨也が、好きな奴相手だと出るんだって言ってた気がしたけど……なんか変な感じした」

「そか、なら、俺相手で出てよかったじゃねえか」

「む…………うむ、そうかも、な」



つんとしながら、そんなことを言うから

ひょいとその体を持ち上げて


「じゃーベッド行くぞー」

「なんだ、まだやるのか?」

「まだ俺が残ってるだろ」

「デリ雄も白いの出すのか?」

「みんな好きな奴相手なら出んだよ」

「ふうん」

「明日1日おとなしくなるくらいなかせてやるから覚悟しとけよ?」

「おー!」

「……わかってんのか?」

「知らん!!」

「……………」




なんかもう、なんでもいいや。
こんなバカ王子でも、やっぱ好きになっちまったから。
高飛車王子の愛でもなんでも、堪能してやろうじゃねえか!



―――――――――
本番なくてごめん←

文字数たりなかった\(^O^)/


要請があれば本番かく


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