着エロ上等! 「このっ、糞野郎……っっ」 や、やばいっ、もうイッちまうっ!! (つか、これって需要あんのかよ…) そんなどうでもいいことを考えていられなくなるほど、俺は早くも追い詰められていたりする。 きっかけは、 『次回作は着エロなんかどうかな』 監督のそんな一言だった。 『着エロ。いいっすね』 『なら着衣は高校の制服ですね。学ランよりブレザーの方かな』 『いや、やっぱヤンキーと言えば長ランにドカンっしょ』 『それ、ヤンキーと言うより暴走族じゃない?高校の制服なら短ランにボンタンかな』 『いっそ制服じゃなくて、体操着とか水着とかはどうっすか。水着ってもブーメランな競パンじゃなくてスク水海パン的な』 『それなら別に瀧君(ヤンキー)じゃなくてもいいんじゃない?そっちはハル君向けでしょ』 『だったらジャージはどうですか?勿論、ヤンキーや(暴走)族ご用達のジャージ上下で。色は黒の方がケツマンから溢れたザーメンが目立つかな』 いつものように、主演男優(俺)抜きで企画がどんどん練り込まれていく。 (つか、また輪姦中出しかよ!) 心の中でそうツッコミを入れるも、今は我慢我慢。 実は、今月はちょっとばかりピンチで、できれば撮影日に出演料の前借りをしたいんだよな。 絶対に売れると言われてデビューした俺だったが、マニアック過ぎるからか、蓋を開けてみれば一部の熱狂的なファンにしか需要がなかったらしい。 お陰で、アダルトDVDだけで食っていくには、なかなか厳しい状況だったりする。 『淫乱ドMヤンキー、ここに参上!』 俺ってば、思えばひでえキャッチコピーを背負ってデビューしたよな。 処女作が発売された日に、DVDのパッケージでそれを知って面食らった。 デビュー作も『夜露死苦』なバリバリの乱闘ものになる予定が、発売されたそれを見たら、乱闘と言うよりは乱交で、確かに俺は、吠えるというよりは大勢のヤンキー(男優)達から寄ってたかってアンアン喘がされてたし。 『やっぱ長ランにドカンの王道(わかりやすいヤンキー)で行くか。ぶっかけても派手に目立つし』 『そうっすね。ドカン下げーの、長ランの裾をまくり上げて、後ろからガン掘りですかね』 やはり正統派の方がいいだろうと、長ランとドカンのケツまくりに決まりかけたその時、 『そういや…ドカンのケツ割れは見ないっつーか、今までにないっすよね』 タチ専の先輩男優の凌先輩が、ボソッとそんなことを言い出した。 ちなみに、ケツ割れってのは、下着やズボン、つまりは下穿きのアナル周辺だけがぱっくり裂けた(またはハサミで丸く切り取った)状態のことね。 つか、ダボダボのドカンのズボンにケツ割れなんか目立たねえんじゃねえの。 しかも、多分、ノーパンで穿かないといけないし。 なのに、 『いいですね!ドカンのケツ割れ!ならタチ男優には窓からポロリだけで犯らせましょうよ。瀧君をフェンスに掴まらせて、立ちバックでガン掘りしてるとこをフェンス越しにアヘ顔のアップとか!』 なんて、とんとん拍子に決まってしまった。 で。 「く、糞っ!その臭っせえモノを抜きやがれ!」 「あん?その臭っせえモノが好きな野郎は誰だっけなぁ?ずっぷり根元まで咥え込んで離さねえくせに、よっ!」 「――ひあッッ!?」 いつの間にか俺はフェンスを両手でがっしり掴んで、後ろからの激しいピストン運動で、足がガクガク震えていた。 絶倫タチ男優の力強い突き入れに脳天が痺れて、高速ピストンが前立腺を執拗に擦りあげてくる。 「あっ、あっ、あっ」 崩れそうな体を必死で踏み締めた両足で支えてる俺だけど、ドカンの中で溢れ出したローションや腸液が伝い落ちているのが気持ち悪い。 「どうだっっ!感じてんだろっっ!認めろよ、この雌ブタがっ!」 「いあっ!!ああッッッ!やめ…」 「ははっ、そんなに嫌ならやめてやるぜえ?俺様は優しいからなあ?」 「え…、や、やめないでっ!!」 うおっ?! とうとう言っちまった…。 こうなれば最後、企画の思惑通り、アヘ顔を画面いっぱいに曝してイキまくるだけだ。 「おらおらおらっ!」 「ああっ、いいっ!デカマラいいっ!雄マンコいいッッ!イクイクイクッッ!」 「てめえでケツ振りやがれ!このド変態がぁぁ!」 「ひぃッッ、もっとぉ!ちんぽもっとぉッッ!アッアッアッッッ!」 ガシャガシャと耳障りな音を立てるフェンス。 ヨダレだけじゃなく、涙や鼻水も垂れ流しでアヘってる俺の顔。 きっとクソひでえ顔をしてると思う。 俺はそれをフェンスに押し付けて、両手で自分のちんこをシコる。 「―――ッ!」 最後は声も出ない状態で、ドカンの中に射精した。 カメラには盛大なイキ顔を曝して、ズルズルと地面に倒れ込む。 アナルにも大量に中出しされたけど、見た目には二人とも差ほど着崩れがない。 ずっと俺のアヘ顔だけをアップで撮ってたし、こんなじゃ需要なんか全くないと思いきや。 「これは……」 「…………」 さっそく撮れたてのシーンを確認してみると、謎の沈黙の後に誰かが唾を飲み込む音が聞こえる。 「え、えーと。これはこれでいいんだけど、今度はズボン下げバージョンを結合部分アップで撮ってみようか」 そんな監督の一言で、更に何パターンか撮ることになったのだった。 ――後日談。 発売日に売り出されたのは豪華三本立てで、3パターンのDVD。 それぞれ瀧のアヘ顔アップ、タチ男優メインのガン掘り結合部分アップ、両者の全身を離れた場所の物影から望遠で撮影したものの3パターンで、撮影日の最後に三方向にカメラを設置して、同時に撮ったものだった。 これを三つ同時に再生すると、それはそれはエロ可愛いヤンキーが見られると言う。 それがどれだけ売れたかは、知る人ぞ知る。 End. 2015/05/27 ▲ prev | next 戻る |