この毎日に終止符をどうぞ/瀬莉+デイライト


「おかしいと思わない?」

部屋には俺とデイライト。
しかしその疑問符が貼っ着いた台詞は俺に向けらている様には感じない。俺はそれに対して何も返す事なくテレビを観続ける。
くだらない、昼ドラ。

「その奥さん、怒ってるのに口笑ってる」

観ていないだろうと思っていた昼ドラにデイライトが口を挟む。
後ろでソファの背にもたれ掛かったのが分かった。やはりテレビに興味は無いらしい。
俺はソファに腰だけ降ろし、今し方焼いたシフォンケーキと珈琲を口に入れる。

「あ、ケーキ。良いにおいがする。オレの分は?」
「…」

振り向く事もせずにデイライトはそう訊いた。
俺はさっき一緒にテーブルに置いたデイライトの分のケーキが乗った皿を少し傾けて下ろす。カタン。

「やった」
「俺は優しいからな」

やっと隣に座ったと思ったらすぐにケーキを食べ始めた。

「あ、この旦那さんはさっきの奥さんと不倫してるんだよ」
「へえ」

「知ってた?これね、再放送なんだよ」
「…」
「だからオレにも分かるんだ、最後は殺されちゃうとか。かわいそうだよね。こんな小さいことで」
「くだらねえよな、」
「うん」

同じ意見。珍しい事もあるものだ。

「あいしてる、だって」
「はは、気持ち悪ィな」
「そんな言葉じゃ安心出来ないよ」
「俺は女心が理解出来ん」

他愛ない昼ドラの話。こんなのの、何が楽しいんだろう。

「……やっぱ駄目だわ」
「どうしたの?」

「俺は優しいからな」
「瀬莉?」
「だから、お前には優しく出来ん」


デイライト、ここでシフォンケーキを食わせてやったのは今日で49回目だ。
このくだらない会話もくだらない昼ドラも、今日で49回目の再放送。

「さよならだ」




窓からの日差しが痛い。
きっと今晩からあの馬鹿野郎に会う事はないんだろう。

少し頭痛がした。


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20120128









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