短編 | ナノ


Short novel


02


「うー……」
「…うーん…」

二人の兄弟が、ビンとにらめっこをしている。その様子を、父親が楽しそうに眺めていた。

「どうだ?」
金色の髪をした父親が、声をかける。その姿は二児の父親とは思えないほど、若々しい。
「…コレって、本当に取れンのかよ…?」
同じく金髪の少年が、ビンを傾けながら呟く。
ビンからコロン…と軽やかな音が響く。ビンの中には、ガラス玉の様なモノが光っていた。

「なんだ、もう諦めるのか?」
父親が挑発的に言うと、金髪の少年は、ギラリと父親に振り返る。
「うるさいっ、この年齢詐欺オヤジ」
「ほんっとに、口の減らないガキだな…。レスト、お前誰に似たんだよ?」
冗談混じりに膨れながら、父親は言う。よく見れば左目の下に黒子がある。
「どう考えても親父だろ…」
レストと呼ばれた少年は溜め息を吐く。彼は身長に似つかわしくない、とても長く赤いマフラーを巻いている。

その後ろでは、銀髪の幼い少年がビンとのにらめっこを続けている。
父親が声をかける。
「おいシュウ…お前はひねくれたガキになるなよ?」
「……えっ?あ、…うん…」
急に声をかけられたシュウは、驚きながら曖昧に返事をしつつも、相変わらずビンの中身が気になっているようだ。

兄弟のビンとの格闘が始まったのは、今から3時間程前に遡る。



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