短編 | ナノ


Short novel


02

暑い。

寝苦しさから目を覚ます。異常な暑さの所為か、体がダルい。窓の外から聞こえる蝉の声が、暑さを余計に助長させている気がする。
近くに放って置いた携帯を開く。今日は8月15日。時刻は午後12時になる少し前。
昨日交わした彼と会う約束を思い出し、暑さで億劫な体に鞭を打って、準備をする。
会って何をするわけでもない。ただ駄弁って笑い合うだけ。でも、それだけでも彼と一緒に居る時間は楽しいと感じる。

外に出ると、むわっと暑苦しい空気が肌に張り付く。顔をしかめて見上げれば、空は快晴。太陽が嫌味なほどジリジリと照りつけている。真夏の炎天下、約束した場所へ向かう。


相変わらず、蝉が煩く鳴いている。



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