短編 | ナノ


Short novel


02

アルフィラツ魔法学校の制服に、身を包んだ二人の男が、スライムと呼ばれるゼリー状の魔物と対峙している。一人は銀髪で、もう一人は緑色の髪をしている。
銀髪の男は、右手に短剣、左手に鈴を握りしめている。緑髪の男は、両手に拳銃を握り、油断なく銃口を魔物に向けている。スライムが、じりじりと二人に近づく。

ダダンッ

緑髪の男が、その体に銃弾を撃ち込む。スライムの動きが鈍る。その横で銀髪の男が、握っていた鈴に魔力を込める。そしてスライムを鋭く見据え、口を開く。
「炎よ、猛れ!フレア!」
銀髪の男の声と共に、スライムが炎に包まれる。弱々しく上体を起こそうとしたが、さらに銃弾が撃ち込まれる。スライムは完全に沈黙し、その場から消滅する。二人は軽く息をついた。

「シュウ!」
「キリス!」
二人の戦闘を見ていた二人の女が声をかける。彼女達もまた、アルフィラツ魔法学校の制服を着ている。
「セシル!」
「あぁ、ユウナ」
二人は彼女達の方を向き、応える。
「二人共、相変わらず息ピッタリだね!」
「全然魔物に隙を与えてなかったし!」
口々に感想を言いながら、二人に近寄る。ユウナと呼ばれた女は、栗色のウェーブがかかった髪が、腰まで伸びている。セシルと呼ばれた女は、黒縁の眼鏡を掛け、肩ほどまでの金髪を二つに分けて縛っている。
キリスと呼ばれた緑髪の男が、余裕そうに笑顔を見せた。
「スライムは魔物の中でも、かなり弱い魔物だし。これくらい楽勝!な、シュウ」
「あぁ」
シュウと呼ばれた銀髪の男は、控えめな笑みを浮かべながら頷き、言葉を返す。
「セシルとユウナも、これくらい出来るだろ」
「そうそう!二人だって、俺達に負けないくらい、息ピッタリなんだし!」
キリスが同意する。セシルとユウナは顔を見合わせ、嬉しそうに微笑んだ。
「そうかなぁ?」
「でも、そう言ってもらえると嬉しいね♪」
「そうだね!」

――ガサッ

近くの草むらが揺れた。
「!」
いち早く気付いたシュウが、キリスに言う。
「…じゃ、その息の合ったところ、見せてもらうか。キリス」
「え?でも魔物が…―!」
いない、と言いかけて魔物の気配に気付き、言葉を飲み込んだ。
「…そうだな。おいでなさったみたいだし。二人共、任せたぜ!」
そう言ってキリスとシュウが、二人から距離をとる。



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