東京都内のシャンゼリゼ
初めて見たときにすごく綺麗な顔をしていてモデルさんかと思った。2回目に見かけたときにロシア人のハーフってことを知った。3回目に見かけたときはロシア語をちょっと勉強しようと本を買った帰りだった。4回目に見かけたときは影山君と一緒にいるときで、影山くんが声をかけていた。そのあともちろん知り合いなのか問いただしたら高校の時のバレー繋がりだけど影山君自体はそこまで仲が良いわけではなく影山くんと仲の良い日向君って子が仲が良いと聞いた。その時に彼は”リエーフ”という名前だと知った。そして6回目の今日、綺麗な顔したリエーフくんに腕を掴まれている

「この間影山と一緒にいた子だよね?」
「そうだけど、ごめんなさい!私まだロシア語ちょっと」
「俺日本語しか無理。ごめんね?日本生まれ日本育ち」

いつも見ていた人が私の腕を掴んでいる恥ずかしさと緊張と、ロシア語勉強してるけどまだ全然覚えれてなくてせっかくの機会なのにお話ができないショックで冷や汗が一瞬でたくさん出そうだったのに、彼の日本語しか無理って聞いて安心して息が漏れる。

「よかった、私ロシア語ぜんぜんで」
「ロシア語勉強してるの?」
「あっ、えっ、そう。ちょっと」
「すごいね!俺全然わかんないけど!」

リエーフくんとおしゃべりしたくて勉強しました、なんて言えるわけもないとなると、ロシア語を勉強している理由が無く追及されたらどうしようかと思ったけど、そんなことはなかった。リエーフくんがロシア語を話せないなら私が勉強したのはなんだったんだろう・・って気持ちもあるけれど、彼が日本語が話せるならお喋りもできる。そのためには、今、連絡先を聞かなきゃ。いや、その前に用事をきいて、それから、か。

「それで、私になんの用が・・」
「用?ないよ!」
「えっ」
「この間影山といた子だ!と思ったから捕まえただけ。ごめん!いやだった?」
「そんなことないです、あの、お願いがあるんですけど」
「なに?」
「連絡先交換しませんか?」

単刀直入すぎた。そう思ってももう音は口から出て言葉となって紡がれてしまった。ひかれたらどうしようなんて思っても、もうどうしようもない。本人に聞かず影山くん経由で聞けばよかったってなんで思いつかなかったんだろう

「いいよ!」

少し間があいて私があーでもないこうでもないマイナス思考に陥っていたらリエーフくんから有難い言葉。え?いいの?!って反応したら早くも彼はスマフォを出していて私もそれに続いてスマフォを取り出す。いつも見ていた彼と連絡先を交換してしまったと浮かれ気分でスマフォをじっと見る。

「名前さ、いつも俺の事見てた?」
「えっ」
「俺、いつも名前のことみてたから、名前もそうかなって」
「は、えっ」
「あ、俺もういくね!あとでね!」

言いたいことを言いきって彼は走って行ってしまった。走り去っていく後ろ姿を眺めながら先ほど言われた”いつも見ていた”の言葉の意味を探して見ても今の私には良い意味にしか考えられないようだ。いや、まさか、そんな。自分が見ていたことを相手が知っていたことはもちろん恥ずかしいけれど、それ以上に”俺も見ていた”って。ロシア人ハーフは日本育ちで日本語しか喋れないって言っておきながら、恥ずかしいことはさらっと言って走ってくなんて。そんなの、ちょっと、ずるすぎませんか。


2017/10/30 Lev Happy Birth day*
 
 
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