策略にハマる。


桐皇学園に入学して3ヵ月目。
新しい学校にも慣れてきたし、中学校で部活が一緒だったさつきや大輝くんのおかげでクラスでの友人関係問題なし。
部活も中学と同じバスケ部に入ろうと思ったけど、帰宅部でここまで問題なし。
問題なのは私に毎日毎日付きまとってくるこの関西弁の眼鏡の先輩だ。

「なー名前中学んときバスケ部マネージャーやったんなら、ここでもマネージャーしてくれたらええやん」
「いや、私は帰宅部で輝かしい女子高生ライフを送るって決めたんでもういい加減あきらめてください!」
「せやかて、青峰だって名前がマネージャーやったらもっと部活来ると思うんや」
「大輝くんは私がマネージャーでも練習に来ません!」
「桜井とも仲ええんやろ?」
「絶対今桜井君関係ない話でしたよね!」

ああいえばこう言い返す。それがこの人桐皇学園3年生今吉翔一。
バスケ部キャプテンPG、糸目の眼鏡で多分というか絶対腹黒い。
さつきに聞いた話によると趣味は競馬、特技釣り。まるでお父さんだ。

「名前今めっちゃひどいこと考えたやろ?」

黒いよ真っ黒だよ、笑顔なのに。常に真っ黒な笑顔を出せるのはあなただけですよ先輩。

「考えてないんでとりあえず私を見下ろすのやめていただけませんか、すごく怖いです!」
「ああ、すまんのう。悪気はないんやで?屈んだほうがええ?」
「いや、それはそれでむかつくんで御遠慮します」

なんだろう、この人は明らかに私をからかっている!そして子ども扱いしているに違いない。今日こそはハッキリ言わないと・・!

「あの!バスケ部のマネージャーは、やりません!なので付きまとわないでください!」
「バスケ部のマネージャーになってくれっての信じてたん?あんなん口実でただ名前に関わりたいだけやで」

糸目の目が開いて私を瞳に映す、言葉にはキュンとしたのに三白眼がすごくこわいです。

「わたしに関わっても得なことないですよ」
「ワシは名前に興味があるだけやで?やで、名前もワシに興味もってみい。」

そう言って私の体を手で押さえて近づいては


「絶対に後悔はさせへんで」






不覚にもときめいてしまったのは、この人の策略なのか。




 
 
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