溺れる人形姫
「俺は・・ただの高校生だ。」

正臣の友達の杏里ちゃんが襲われたことで正臣は黄巾賊に戻ってきた
別に戻ろうと戻らなかろうと私には何も関係ない。

『"将軍"に戻った正臣でもいいじゃない』
「名前・・その呼び方やめろよ。」
『"将軍"って呼ばれ方いいと思うけどなあ、かっこいいじゃん』
「かっこいいとかじゃなくて、名前には名前で呼んでほしいんだけど」
『わかったー。正臣』
「おう、もうこの話しやめよーぜ、せっかく久しぶりに2人きりなんだし何する?」

話しをやめると言い出すといつもの正臣に戻った。
こうやって普通にしてれば本当何処にでもいそうな元気な最近の高校生なのに、黄巾賊の将軍だなんて、誰が思うんだろう。

『正臣、今日はナンパに行かなくていいの?』
「おいおい、折角2人きりになれたときにそんなこと言うなよなっ!確かに俺は、全世界にいる女性達を幸せにしなくちゃいけないけど今は名前だけなんだぜ!」
『・・正臣は私だけの正臣になってくれないの?』
「なってやりてーけど、俺には全世界の女の子を愛さなくちゃいけないからナマエだけを特別扱いする事はできない!俺だって悲しいけど、こんな俺を受け入れてくれよ!ナマエの持ち前の余裕でさ!」
『じゃあ、将軍の正臣だけでいいから、私にちょーだい』
「将軍の俺なんていついなくなるかわかんねーし、俺は名前を巻き込みたくはねえ。」
『・・あの子のこと好きだもんね』


ああ、なんで自分で地雷を踏んだんだろう。そんな事は昔からわかってたことで、私が正臣に言わなければ正臣は今までと同じように接してくれるんだろう
それでも地雷を踏んだ私はただの馬鹿なのだろう。でも言ってしまった事実は何も変わらない。

「・・いつから」

別にそんな顔をさせたかったわけじゃないのに、正臣は苦しそうな顔をした、私は正臣があの子にしたことを知ってる。逃げ出したことも私は知っている。

『ずっと前から知ってたよ、正臣は軽いこと言ってても本心ではあの子だけを見ているって気持ちはあの子だけに向いてるって、私は知ってたよ』
「知ってて俺と一緒にいたのか。・・・俺にそんな価値なんてないだろ。」
『別に価値とかじゃなくて私が好きなだけでもいい、それで幸せだから。』
「でも俺は名前に何もしてやれない」
『何もかもを捨ててまで守りたいものとかってのが愛っていうでしょ。ならさ』




『あの子を愛して、私に恋をすればいい』



(理性を失って)(正臣を手にいれる)
 
 
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