38度は平熱です。
今日は朝から若干体調が悪い、嘘。すごく悪い。
吐き気に頭痛、眩暈、咳・・風邪の要素は十分揃ってる。
それでも私は今学校にきていて授業を受けてる、けど頭に入るかといわれたら入ってこない。
ボーっとしながら授業を聞いてると後ろからぺんで刺された。

『いた・・っ』
「なにボーっとしてるの?」
『暇なだけー』
「うそ、風邪ひいてるでしょ?顔赤いよ?」
『気のせいだよー。』
「そんなこと・・ないよ?」

ぶっちゃけ後ろの席の沖田総司は勘がいいから怖い。
ここでばれたら私帰るはめになるし、それは絶対いやだ、無理してまで学校来たんだしさ。

「土方先生。」
「あ?なんだ総司」
「名前ちゃんが体調悪そうなので保健室つれてきますね」
「・・・わかった、でもなんで総司が連れてくんだ」
「嫌だなあ、別に僕はいなくてもいいでしょ?それとも居てほしいんですか?嫌だなあ、土方さん。僕はそんなこと思ってませんからね」
「・・てめぇはいちいち一言多いんだよ!とっとと連れてけ!」

そう土方先生に総司は言うと、土方さんの反応を見て笑って私を立たせ一緒に保健室にむかってくれた
総司はこうやって誰にでも優しいのかな、もてるしね。
私はほかの女の子よりも席が前後のせいもあって仲良くしてもらってる。でも総司にとって特別な意味なんてないんだろうな・・

「名前歩ける?」
『歩けるよ、大丈夫だよ。心配しすぎ!』
「えー、なんだか嘘っぽいなあ。」
『信用できないの?』
「信用できないから・・」

そう言って総司は、片手を私の肩に、もう片手を私のひざに当てて軽く私の身体を宙に浮かせて軽々と抱き上げた。
これは、お姫様抱っこ・・!総司はこういうことほかの女の子にもしてるのかな、だからこうやって普通にできるのかな。
私はこんなにもドキドキしてて、恥ずかしくって心臓の音が聞こえないようにすることで精一杯なのに。
でも抱かれた状態から見る総司の顔はいつも見上げる顔とは少し違って、すべてが新鮮に見える。いつも見上げてることは一緒なのに、抱き上げられてるだけでこんなに変わるのかな。

私が心臓の音を止めようとしてる間に保健室につき保健室の扉を開ける。保健室の先生の姿はそこに無かった

「あれ?先生いないね。」
『・・・職員室かもね』
「名前ちゃんさ、此処に来るまでの間で顔赤くなったよね。熱あがった?大丈夫?」

私の額に総司の手があたる、冷たくて大きくて綺麗で、でも手に剣道で出来たタコが所々あってごつごつした男の、総司の手。
体調悪いし、さっきのお姫様だっこでいっぱい汗かいたからな、初めて額に触れられたのに汗ばんでた額なんで嫌だなあ。

「・・熱あるね。」
『え、気のせいだよー。』
「測ってみて」

私は測りたくなかった、でも総司の顔が心配そうな、うまくは言えないけど不安そうな顔をしていて、その顔を見たら体温計を受け取るしかなかった。
ピピピっと熱を測り終えたことを知らせる電子音が聞こえそれを出し温度を見ると明らかに平熱ではなかった、というか熱測ったせいか余計体調悪くなって気がする

「38度・・・名前帰りなよ。送ってあげようか?」
『総司ごめん、私38度が平熱なんだ。
「へぇ、そうなんだ。じゃあこれから毎日学校これないね。・・なんでそんな帰りたくないの?」
『学校が好きだから!』
「うそばっか。いつもつまらなさそうな顔してるじゃない」
『・・なんでそう思うの?』
「いつも見ているから、って言ったら?」
『・・・え』

なんでそんなこと軽く言えるんだろう、本当は思ってないんでしょ。別にどうだっていいんでしょ。たまたま席が後ろだから私の事見えるだけで意図的に見てるわけ総司は無いのに、なんでそんなこと言うの?
ああ、ダメだ。熱のせいだ、こんなこと考えてるのは。でもやっぱり悲しいし、いつも泣かないにしろ熱のせいで涙腺は緩んでるし、泣きたくないのに、いいたくないのに。

『なんで・・そんなこと言えるの・・?』
「えっ、ちょ名前なんで泣いてるの」
『思ってもないのに言えるの?総司は私のことなんとも思っていないはずだし、総司だし。でも私は総司のことそういう目で見てるの、好きなんだよ、だから私は学校に来てるの、平熱だなんて嘘まで言って総司といたいのになんで総司はそんな簡単に言えるの・・?』
「・・ごめん。でも別に僕が名前のことなんとも思ってないなんて君の思い違いだよ。僕は君のことずっと好きだった、でも君に・・名前に嫌われたくなかったからいえなかった。それじゃ、だめかな?」
『え?』
「まあ、名前が僕のことどう思ってるかわかったからいいけどね。じゃあ帰ろうか、君の部屋で看病してあげるよ。僕が。」







お借りしました、ありがとうございました。
りんご汁


 
 
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