09:21
 
「折原さん」
「おや、四木さんじゃないですか。こんな所でどうしたんです?」
 
見るからにヤの付くご職業の方であろう人に声を掛けられた途端、これまた見るからに胡散臭い丁寧口調で臨也が挨拶を返す。私はと言えば、ただ唖然とその様子を見ているしかない訳で。
 
「ちょっとお仕事の話しをさせて貰いたかったんですがねぇ…そちらの可愛らしいお嬢さんは、折原さんの彼女さんですか?」
「ちg「えぇ、そうなんですよ。すみませんね、今日は彼女がどうしても俺から離れたくないと言うので朝からずっとこんな状態で、全く困ったものです。そんな訳で、仕事の方はまた後日、私の方からそちらへ伺わせて頂きますので、その時に」
「解りました。折角のデートを邪魔してしまってすみませんでしたね、それじゃあ、また後日」
「わざわざご足労頂いたのに申し訳ありません、それでは」
 
去って行くヤーさんもとい四木さんとか言う人をにこやかに見送る臨也。
 
「おい、おいテメェ何ある事無い事吹いてやがる死ね」
「ちょっとちょっと、仮にも女の子がそんな言葉遣いしないでよ、興醒めするだろ」
「寧ろしてくれた方がありがたいし!何なのあれ!っていうか仮にじゃなくて私ちゃんとした女ですけど!?」
「落ち着きなよ、一々説明せずに済んで良いじゃないか」
「良くない良くない良い訳がない。完全に誤解されてんじゃん私、臨也の彼女とか思われてんじゃんあんな危なそうな人に。もしアンタが仕事でドジ踏んだりした時に『仕方がねぇこの落とし前はテメェの女につけてもらうしかねぇな』なんて展開になったら私どうなんの」
「生きたまま臓器を売られるか、一応そこそこ見た目は良いから身売りさせられるかもね」
「かもね、じゃねぇよ!とんだとばっちり!今すぐあの人に電話して事情を説明してあわよくばその手の鍵屋みたいな人紹介してもらってこの手錠外して下さい」
「冗談だよ、四木さんの所はそっち方面にはあんまり手出ししない主義みたいだし。そもそも俺が仕事でへまするなんて、あり得ないね」
「この自信家が…!」
「あはは、褒めても何も出ないよ?」
「さっきから別に褒めてる訳じゃないからねこれ!もー!こうなったら静雄に電話して助けに来てもらうから!」
「おっと、それはちょっと困るなぁ。シズちゃんってばこういう時はいつにも増して空気読んでくれないからさ」
「ちょ、私の携帯!いつの間に取った!」
「油断大敵ってね。でも、そうだなぁ…この状況をシズちゃんに見せつけてやるってのは中々面白いかも知れない」
「は?」
「よし、昼食が食べ終わったら池袋に遊びに行こう!」
「絶対やだ!」
 
確実に喧嘩の巻き添えを食うに一万賭けても良い。…いや、やっぱ五千円くらい。
 
next!!
 
 
BACK
 
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -