* 侍七(2)→首無(2)→進撃(6)

 
 
case.キュウゾウ
 
「……」少しばかり準備に手間取って約束の時間に遅れてしまったのだが、素直に謝ったところでキュウゾウは相変わらずの無言対応。折角気合いを入れてお洒落をして来たというのに、拍子抜けだ。こういう奴だと解ってはいたけれど、ちょっと不貞腐れながら村のささやかなお祭りを巡る。輪投げを完璧に決める辺り流石としか言いようがない。景品として貰った大きなぬいぐるみと一緒に花火も見終わって、そろそろ帰ろうかと切り出したら、急に私の腕を引いて何処かへと歩き始めるキュウゾウ。辿り着いた先は人気の無い森の中で「…遅れた分の償いは、してもらう」って、気にしてたのか口実なのか。いつもより楽しそうなのは浴衣のせい、だったら良いな。
 
 
 
case.ヘイハチ
 
「やあ、見違えました!実によくお似合いで!やはり女性の浴衣姿は良いですね、夏の暑さも吹き飛びます」二割増の笑顔でつらつらと述べられた感想に恥じらうよりも前に戸惑ってしまう。ヘイハチは褒め上手だよねなんて茶化しても「いやいや、お世辞では無く本心ですよ?」って殊更ニコニコするものだから、じわじわと遅れて羞恥心がやって来た。からかい半分なのは解っているつもりなのに。ちょっと悔しい。わたあめにかき氷、お祭りは美味しい物で一杯だ。「そちらも一口頂いて宜しいですか?」私のりんご飴を見ながらそう言われたので差し出したら、飴を通り越して唇をぱくり。「ご馳走様です」とか言って、終始振り回されてばかりだ。
 
 
 
case.臨也
 
「うん、中々良く似合ってる。やっぱり俺の目に狂いは無かったね。モデルが貧相なのが聊か残念なところだけれど、浴衣って胸は無い方が良いんだっけ?」頭のてっぺんから爪先まで、遠慮の欠片も無い視線でじろじろと値踏みするみたく眺めながら暴言を吐かれたとて怒る訳にはいかない。この浴衣は当日に着た姿を見せに来る事を条件に、臨也が選んで買ってくれた物なのだ。一通り見せ終わったところで、もう祭りに行ってきても良いか尋ねたのだが、返ってきた言葉は「そういえば浴衣を着る時は下着をつけないっていうよね」という不穏極まりないもので、ニコニコがニヤニヤに変わるのを見て漸く嵌められたことに気付いた。
 
 
 
case.静雄
 
「そういや今日は祭りの日だったか」私の格好を見て思い出したように呟く静雄。らしいといえばらしいが、それだけかとちょっとガッカリ。「りんご飴とか久し振りに食いてぇな」そういう静雄にじゃーん!と袋を掲げて見せる。最近の出店はお持ち帰りも出来るのです。お祭りのような場だと浮かれた勢いで絡んでくる輩がいるから、という理由で本当は行きたいのに我慢してる静雄の為にあれこれ買って来た訳だが、何故か静雄は不満顔。どうしたかと問えば「一人でふらふらしてたら危ねぇだろうが」どうやら心配してくれたらしい。調子に乗って浴衣似合う?って聞いてみたら「ん、可愛い」って頭を撫でられた。来年は一緒に行こうね。
 
 
 
case.エレン
 
「お前、浴衣着ると雰囲気変わるな。すげぇ似合ってる」ありがとうって照れながら答えたら「おう」って笑うエレン。射的とかボールすくいとかやってみるんだけど上手くいかなくて、ちくしょうもう一回!って何度も挑戦しちゃうから慌てて止めるんだけど、それが何だか不満そうだから、金魚が欲しいなっておねだりしてみたら張り切って一番大きい子を取ってくれた。自慢気にその子を差し出すエレンの方が何だか嬉しそうで、大事にするねって受け取ったら「当たり前だろ」なんて。散財させちゃった申し訳無さが吹き飛んでしまいそう。
 
 
 
case.ジャン
 
「馬子にも衣装ってのはこういう時に使うんだな」開口一番にそう言いながら鼻で笑われたから下駄で思いっきり足を踏んづけてやった。スニーカーを履いてるくせに大袈裟に痛がるジャンを放って帰ろうとしたら慌てて腕を捕まれて「冗談に決まってんだろ!」って慌てて弁解し始めたので、一言馬鹿とだけ告げてお祭りに引っ張ってく。「俺、射的得意なんだぜ。欲しいものがあれば取ってやるよ」格好つけてそんな事言ってるけど、去年のお祭りで必死に練習してたの知ってるよ。しょうがないから言わないでおいてあげるけど。
 
 
 
case.アルミン
 
「わあ、可愛い浴衣だね!あっ、ゆ、浴衣だけじゃなくて、勿論君自身も可愛いんだけど…!って、なに言ってんだろ僕…」何故か私よりも照れてるアルミンに、分かってるよ、嬉しいって笑いかけたら困ったように頬を掻いて「…それじゃあ行こうか」って誤魔化すみたいに手を差し出すから、そのまま自然に繋いじゃう。ポイは全部水につけた方が破れにくいとか色々教えてくれるんだけど「…実際にやってみると難しいね」なんて結局二人して残念賞。だけど貰った金魚をお互いに交換したらそれだけでちょっと特別な気がするんだって言ったら、少しだけ吃驚してから「そうだね」ってはにかんでくれた。
 
 
 
case.ライナー
 
「たまにはそういう格好するのも新鮮で良いな」余裕な振りして笑ってるけど本当はちょっと動揺してるよね?一瞬驚いたような顔してたの、ちゃんと見てたよ。然り気無く人通りを気にしてくれたりちゃっかり奢ってくれたりするから、ライナーといるとついつい食べ歩きに夢中になっちゃうのが少し困りもの。そんな風にしてうろちょろしてたら慣れない下駄で足が痛くなって、結局最後は大きな背中におぶわれて帰る羽目になる。「あれだけ食ってたのに軽いな」なんて言うから思わず肩を叩いちゃったけど、つい甘えてばっかりでごめんね。
 
 
 
case.ベルトルト
 
「あ……えっと、その……」私を見た途端に赤くなっておどおどしだすベルトルト。言葉にしてくれなくても何と無く分かるけど、わざととぼけておかしくないかな?なんて尋ねたら、慌てて頷きながら「大丈夫!凄く、似合ってる!」力んで大きな声を出しちゃって、また照れる。でもそんな態度が嬉しくて笑ったら、ほっとしたみたいにベルトルトも笑い返してくれる。一通り歩き回って疲れたところでベンチに座ったら、遠くの方で花火があがる。綺麗、なんて見とれてたら、小さな声で「今日は来てくれてありがとう…」って、それはこっちの台詞だよ。
 
 
 
case.リヴァイ
 
「…なんだ、その格好は」祭りは人が多くて騒がしいから行きたくないってリヴァイが言うからせめて浴衣だけでもと着てきたのに、玄関を開けた途端に怪訝な顔をされた、ひどい。お祭り行きたかったのにってテレビを見ながらいじけてると、いつの間にかベランダに出てたリヴァイに呼ばれ、何の用かと行ってみたら遮る物の無い空に特大の花火があがる。すごいすごい、特等席だ!ってはしゃいだ後で手摺にしがみついて眺めていたら、後ろからお腹の辺りに腕を回して抱き締められる。リヴァイの言う「悪くない」は限り無く良いに近いのは知ってるけど、それって花火のこと?私のこと?どっちだろうと思ってたらうなじにそっとキスされたので、多分後者。でもせめて花火が終わるまでは待ってね。
 
 

今更過ぎたネタ
140908
 
 
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