俺が見つけた真っ黒く平べったい、サラリーマンなんかが持っていそうな鞄の中から『学生証』というものが出てきた。それに書いてあることによると死体の名前は俺と一緒で高杉晋助と言うらしい。ただ年齢は同じではないらしく二十代の俺と違って死体であった高杉晋助は18歳で、銀魂高校3年Z組らしい。らしいと言う言葉を使うのは俺がこの『銀魂高校3年Z組』の意味がいまいち分からないからだ。

(何かに所属しているのか?この3年Z組はナンバーだろうから所属先の名前が銀魂高校ということか?)

いまいちというかさっぱり分からない。とりあえず俺はその学生証をそこら辺に置く。そしてまた辺りを見渡すと机の隣にパソコンがあるのを見つけた。パソコンは俺の時代にもあり使い方は一応知っていた、だからそれが調べものをするときに便利だと言うことも分かっているので俺は俺の時代より少し薄くなったパソコンの電源を入れて起動するまで待つ。
手持ちぶさで暇だったのでまた部屋をグルッと見渡すと充電中の携帯を見つけた。携帯も俺の時代にはあった物なので使い方は知っている、後でアドレスなどをざっと見ておこう。




パソコンが起動したと知らせる音がして俺はマウスを手に取りインターネットをひらいた。俺の時代と変わらない作りに少し安堵して『銀魂高校』で検索する。そしたらその施設の専門サイトが出てきた。それを見て分かった事は学校の創りや歴史、何所にあるか、そして付け加えるとそれが高校という施設という事だった。俺はまた検索ページに戻り『高校』で検索する。調べた結果そこは勉学に励む施設のようで俺の時代で言う寺子屋のようなところだった。

(つまり俺は土日以外はそこに行かなきゃいけねぇって事か)

俺はパソコンを付けたまま椅子から立ち上がりさっきの鞄が置いてる所へ足を運ぶ、俺という人物は案外几帳面だったりするのだ。俺はゴソゴソと鞄の中をまた探る。

「……あ、あった」

俺の手には小さい手帳が握られていた。俺はそれを開いて目を通す。そのメモ帳はカレンダーのような作りになっていてその日の予定などを書き込めるようになっている。そうこれは世に言う予定表の役割を果たすメモ帳だ。ニヤリと俺は笑う、つくづく俺という人物は用意周到で助かる。例え死ぬとしてもちゃんとその後の予定を書いているのだから本当に変なところで律儀だ、まぁ俺はそれに救われたのだが…。

「…でも、来週の月曜まで高校の方は停学になってる」

そろばん塾やその他諸々は有るのはあるのだが今さっきパソコンで調べた高校には俺は行ってはいけないらしい。おいお前何したんだよ高杉晋助。そう呆れながら俺はベッドに置いてある睡眠薬を手に取る。こいつは一定の量を飲めばただ睡魔に襲われるだけの代物だがそれを一気に大量に摂取すれば命を落とす。

「何があったかは別に興味はねぇんだけど…」

「くくっ、俺の事だから気まぐれで死んだんだろうな」

傷付いたから死ぬのではない、死んでみようかと思ったら自分は死ぬのだ。俺はそういう人間だ、だから今さっきまで転がっていた死体も多分そんな感じなのだろう。生きるのに飽きたじゃあ死のう。そんな簡単な感情で自分は死ぬ事が出来る。
では、何故俺は今まで死ななかったのか、それは俺の中に巣食うどす黒い獣が…感情が俺の身体が滅ぶのを許さなかっただけだ。

「明日はそろばん塾があるんだな」

死体を飲み込んでも消える事の無かった穴の中に向かって俺はそう言った。


( : top : )

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -