お前の美しさに惚れたのは、お前に会った時で、お前に触れたのは血生臭い戦争の中、安らぎを求めてだった。

そして

お前が離れていったのは、俺に別の大切なものができた時だった。


【美しい君】

俺と高杉は紅桜の一軒で敵同士になった。

なぜだか判らないが時々 『これで良かったのか?』そう考えるときがある。ああ、自分でも笑えてくる俺が突き放したくせに俺はまだ未練がましくお前に触れたくてたまらないんだ。

お前に触れたのは、ただただ虚しさをなくすためだった。でもお前に触れているとき俺は『ああ、俺はずっとこうしたかったんだ。』そう思えた。攘夷戦争の時の話だ、懐かしいだろ?

なあ・・・

「高杉・・・。」

「よう・・・銀時・・・。」

目の前にお前がいる。欲しくて欲しくてたまらないお前が・・・。

誰も居ない、暗い暗い細道で俺は高杉と出合った。多分アイツは散歩かなんかでココに居るのだろう俺もそんな感じだ。

「何で、居んだよ・・・。」

俺は高杉を睨んで言う。俺はそんな事が言いたいんじゃない、それでも口は勝手に動く・・・

「次は、斬るつったよな・・・俺・・・。」

ああ、この口が憎い素直に『会いたかった』も言えない。

「別に、深い意味は、ねぇよ・・・。」

「そう、かよ・・・。」

俺も高杉も言葉が途切れ途切れで話がスムーズに行かない。分かっているんだ俺もお前も会いたかったからココに居るってそれでも――

「帰れ・・・。」

俺はそう言い放った。高杉は顔色一つ変えないで俺を見る・・・。長い沈黙が流れる、

(触れたい、でも俺はそれをしてはいけない)

俺には捨てられないものがある、それをこの男は、壊す。簡単な話だ捨てたのだ、俺が高杉をそんな俺は高杉と関わってはいけないのだ。

「言われなくても、もうこねぇよ・・・これで会えるのは最後だ・・・。」

「・・・。」

「もう会わねぇ、これで終わり。」

終わりも何もあの日、お前が俺とヅラを春雨に売ったときから終わっているじゃないか。お前と俺は。

「お互い、思い会うのも・・・。」

「・・・。」

「求め合うのも、・・・終わりにしようや。」

俺は目を見開く

「そんな、もん、とっくに、ねぇよ、・・」

「いや、あるだろう・・・」

聞きたくない、そう思った。敵同士でも、俺は思いあっていたら、高杉の心に深く刻み込まれていたら、そんな馬鹿な事を俺は思っていた。

でも、

それも終わり。そう高杉は言っているのだ。

「俺は地球(ココ)を離れる・・・。」

「・・・。」

「次、会うのは・・・。」

言っている意味は、これから言う言葉は予想がつく―――。

「殺し合いを、するときだ。」

もう、終わり
いつか言われる事は分かっていた。本当は俺が言うべき言葉、弱いなぁ俺。

「ああ、そう、だな。」

俺はそうあいまいに答えた。そう言った後、高杉は弱弱しく口を開いた

「なぁ、銀時ぃ・・・。」

「何だ・・・。」

「最後の、最後の一回だけ俺の我が儘聞いてくれないか?」

珍しい、と、思っただから・・・いや、多分それだけじゃないと思うが俺は頷いた。

「ああ、」

そう言ったとたん高杉は俺に抱きついてきた、ただただ何も言わず。

(あー、やっぱ駄目だわぁ俺。)

俺が言えねぇから、高杉こんな傷付いて・・
そんな事を考えながら俺は高杉の体に腕を回した。

【醜い俺】
(お前と殺し合いをする時も、最後は抱きしめよう)








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