「松風…………」

今日は珍しく剣城から話しかけてきた。しかも今は2時限目から3時限目にかけての休み時間。廊下には沢山の人がいる。

「なぁに?」
「そ、その……」

剣城は急に寂しくなる事があるらしい。前触れもなく本当に急に。優一さんは昔のトラウマとかじゃないかと話していた。

「…………あっのな」
「うん」

こういう時は焦らず、ゆっくり優しく問いかけてあげる。耳まで真っ赤にして口をもごもごと動かす。この日頃とのギャップに理性が持っていかれそうになる。だけど廊下というのもあり、必死に抑えた。
すると意外にも剣城から抱きついてきた。俺は驚いて体を強ばらせた。
周りから所謂腐女子という部類に入る奴らが黄色い声を張り上げる。

「どうしたのお」
「ん…」

ゆっくりと背中を撫でていくとピクピクさせながらもキュッと学ランを掴む。口を近付けると剣城から啄むようなキスをしてきた。

「………///」
「何、どしたの」

剣城は首に手を回したまま口をパクパクさせる。

「て、んま……」
「ん?」
「す、き………////」

今、剣城から好きって言った?あの日頃まったく愛の言葉を発しない剣城が。

「……………/////」
「かっわいー」
「えっ!?んぐっ…」

可愛いと言ってから、噛みつくような激しいキスをした。剣城はこっちのキスはあまり得意じゃなくて、下手に呼吸をするのがとても可愛い。

「………ッぱっ……ちゅ」
「めちゃ可愛い」

剣城の頭を撫でた瞬間にチャイムがなった。
悲しそうな顔をしていたからまたキスをしてあげると、顔を真っ赤にして教室から逆方向に走っていってしまった。

(また、後でね)

(あのバカが………/////)


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