幼少期の剣城兄弟

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「いやあああああ!!!」

部活からの帰り道、家の目の前で家の中から泣き叫ぶ声が聞こえてきた。
嫌な予感がしてドアを荒々しく開けて、靴を脱ぐのも忘れてリビングまで勢いよく走る。

「兄ちゃん!!」
「京介!!」

俺は京介を抱き締めて無事を確認する。
未だ震えてえいる京介はビクビクしながら声を発しようと口をパクパクさせている。余程怖かったんだろう。

「落ち着け、京介?何があったんだ?」
「………たくない…」
「え?」
「死にたくないよ…」

テレビを見るとホラー映画が再生されていた。
顔に切り傷やら血やらがいっぱいついていて気持ちが悪い。
それに、京介に悪い影響を与えてしまうため、即座にリモコンの電源ボタンを押した。

「大丈夫かあ?」
「怖い…………」

必死に服を掴んで、甘えるようにすり寄ってくる京介は未だに震えていた。
京介は昔からずっと怖い話等が苦手であった。
夏の夜にやっていたの嘘臭い怪談話でも京介は泣きに泣いて最終的に酸欠をおこしてしまった。
それ程怖い話に弱かった。
今の映画など怖いだけじゃ伝わりきらないくらい恐ろしかったに違いない。
俺は靴を脱いでソファーに座り、京介を膝の上に乗せて正面を向かせる。
ゆっくりと前髪を撫でてやるとうっとりとした顔をしながら微笑んだ。

「兄ちゃん………」
「ん?」
「好きっ」

そう言って胸に倒れ込んできた。
何て可愛い弟だろうか。

「俺も好きだよ、」

それは兄と弟としてではなく、一人の人間として好きといい意味なのだが、京介は知る余地もない。

「やったあ!」

俺はこの笑顔の為に今日も生きていくのだ。


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