愛とかだるいよ

「ん〜……」

朝の日差しを直接顔に浴びて、オレは薄ら目を開ける。今何時だろう。携帯を見るとまだ時間は朝の5時53分。早すぎるだろ。もう一度寝てやろうと目を瞑って布団を頭から被ろう……として動かない掛け布団をより強く引っ張った。

「……」

動かない布団の先、茶色の髪をした顔に傷のある男が普段見せないような顔をして安眠を貪っている。
スコール。スコール・レオンハート。オレのカッコよすぎる、恋人。こんなこと普段言わないけどさ。

「……はあ」

もうこんな調子じゃ寝れないし、動かない布団は諦めてコーヒーでも淹れよう。いつもオレの方が早く起きるんだけど、そのときは大体朝練があってゆっくりなんかしてられない。なんだか寝てるスコールの顔をまじまじ見ることってあんまりないかも……。そう思って彼の顔をじっと見る。ずっと伸びた鼻、斜めに入った傷、閉じられた瞳、薄いくちびる。その全てが愛おしくてたまらない。かかった髪を右手で梳く。

「こうやってると、同い年みたいだよな」

下手したらもっと幼く見えるかも。いつも老け顔、老け顔って言われてるけど寝顔は幼いんだよな。
じっと見つめていると愛しさが溢れてくる。

「スコール、スコール……」

小さくそう呟きながらくちびるを寄せる。彼の唇は朝を浴びて薄桃に色づく。瞳を閉じてため息を付きながら触れたそれは甘い、果実の味がした。
ふっとくちびるとはなす。コーヒーでもいれて、今日は時間もあるからパンケーキでも焼こうかな。そう思って上半身を起こそうとして思いっきり引っ張られた。

「うわっ」

何事かと思うと上のほうから笑い声が聞こえる。ちょっと上を伺うとスコールが笑ってる。

「……なんだよ、起きてたのかよ」

起きてたならおはようの一言ぐらいあってもよくない? って思ってるうちにかっこいいスコールの顔が近づいてきてオレはスコールの瞳に惚けたオレの顔を見つけて静かに目を閉じた。
ああ、これはゆっくりパンケーキなんて焼いてる時間なんてないんだろうな。

2018.03.04


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