くだらないあれこれ、そのさん
*現パロ
「なんだこれは」
朝からティーダの姿が見えないと思えば、彼は庭に出て小さなビニールプールに空気を入れていた。あ、スコール、と彼は振り返りながら笑顔で答えた。シュコシュコと空気入れを動かしている。
「なんかさ、物置漁ってたら出てきたんだ」
だんだんと膨らんでいくビニールプールには幼い頃流行った幼児向けアニメの絵柄がはっきりとしていく。そうじゃなくて、と思いながらもティーダが懐かしいよなこのアニメ、と笑うから俺はそのまま縁側に腰を下ろして彼の作業を見つめていた。
少し汗ばむ陽気に彼の肌が日に焼けて。ぼーっとしていたら突然冷たい水が降ってきた。
びっくりしているとティーダが水を流したホースを片手に笑っている。こいつのせいかとため息をついて俯いたままでいれば、彼はおーい、スコール? と悪びれもなく声をかけてくる。ふるふると肩を震わせておい、と低く呼べば彼はびくついた表情でこちらを見てくるから。そんな子犬のように震えるティーダがおかしくて耐えきれずに笑い声が漏れた。ティーダはからかわれたことに気がつくとスコール! と声をあげた。
「わわっ」
プシュッという音と共に溢れ出すコーラを急いで口に運んで煽る。ティーダが持ってきた小さなラジオが運ぶ、一昔前の流行歌と。俺が冷蔵庫から持ってきた冷えたコーラと。ビニールプールに広がった大きな海に足を浸してしまえば、そこにあるのは幸せだった。
BGM ラッキープール
2017.5.8
top