くだらないあれこれ、そのいち
*現パロ *リクエスト(アイスを食べる810)


隣で眠るティーダが愛おしい。長い前髪をかき分けて額にキスを落とす。彼は起きない。

「んん……」

邪魔だというように俺を跳ね除けようとする手を掴んでもう一度その額に、頬にキスをする。くすぐったいと彼が目を覚ます。俺の顔が目の前にあって、ティーダはびっくりしたようで。俺はそのまま彼の唇に自分の唇を重ねた。
こうやってティーダと暮らすようになって、彼のいない以前の日々など考えられないものとなってしまった。何年も一人で暮らしていたというのに。こんなにも彼に絆されて、熱を持たされて。どうしてくれるんだ?

「スコール、しつこい」

つぅっと俺とティーダを銀糸が繋ぐ。荒い息のティーダにもう一度。そうやって顔を近づけたら彼はやだと顔を背けた。

「ティーダ」

耳元でそう囁けば、彼の顔はみるみる赤くなる。

「やっ……!」

ティーダは耳が弱い。そのまま耳を犯す。彼の口からは喘ぎが漏れだして。そのままもう一度……。

「このッ……!」

パァンという音と頬がじんじんと熱を持つ感覚にびっくりして俺は左手を振りかぶって息を荒らげているティーダを見た。

「スコールの……! 変態ッ……!」
「わ、悪かった……」



上半身裸でウロウロとするティーダの肌の上には昨日の跡がそこたらじゅうに散らばっていて。それにまたずぐずぐと燻る熱を感じて、我ながら若いというものは……と頭を抱えた。かぽかぽとコーヒーメーカーが立てる音、卵を割る音、トーストが焼ける音。そして彼が裸足で歩く音。その全てが愛しくて微笑んでいたらティーダがなんスか、スコールってば、気持ち悪ぃと声をかけてきた。

「ほら」

スクランブルエッグにサラダ。こんがりと焼けたトーストに淹れたてのコーヒー。彼の作る朝食は美味しい。俺は口に入ればいいと言うような食生活をしていたから。素直に美味しいと言えば彼はだろ? と笑った。

「ごちそうさま!」
「……ごちそうさま」

皿洗いは俺の役割で。

「なあ、オレシャワー浴びていい?」
「ああ」

彼が風呂場に消えてくのを視界の端で捉えながら卵で汚れた皿を水で流す。今日は俺もティーダもフリーの日で。昨日は久々で、その、俺も若いしティーダも若いから。貪るようにふたり身体を重ね合わせた。普段のティーダはいつも明るく元気で、それなのにベッドの上では俺にあられもない姿を晒してもっとと強請る。熱を帯びた声で俺の名を呼ぶのだ。彼の痴態を思い出して俺はため息をついた。

「あー、気持ちよかった」
「……ティーダ……」

アンタは、ほんとうに……。十分に乾かしもしないままペタペタとパンツ一丁の格好で冷蔵庫に向かうティーダに俺はもう一度ため息をついた。

「ん?」
「ちゃんと乾かせ」

冷蔵庫から牛乳を取り出してラッパ飲みするティーダにほらと手招きをする。彼は嬉しそう待って待ってと言うと牛乳を冷蔵庫に片付け、脱衣場へとかけた。そしてドライヤーをもってきてお願いします、俺の前に座った。ティーダの髪にドライヤーをかける。乱雑に彼の髪を手でかけば、彼はくすぐったいと笑って擦り寄ってくる。犬みたいだと言えば彼は怒るから、俺はそのままドライヤーを離してキスをした。

「スコール、スコール」

と彼が俺を呼ぶから。どうしたんだ? と言おうとした言葉は彼の口内へと消えた。ティーダは俺を押し倒してキスをして、胸元にぺったりとくっついて。

「スコール、冷たくて気持ちいい」

そうやって微笑むのだ。乾かしたばかりの、まだほんの少し濡れている彼の髪を撫でて耳を触ればやめろよと声が聞こえる。

「俺は暑い」

暑いティーダと冷たい床に挟まれて。あ、とティーダは声を上げるとばたばたと冷凍庫のところに駆け寄った。
……? 何をしているんだろうかと思えば、彼は手にアイスを持って、

「暑いというスコールには〜」

と言いながら俺の口に棒アイスを突っ込んだ。ソーダ味の安い氷菓子が口に広がる。びっくりしている俺の口からそれを引っこ抜くとティーダは自分自身で食べ始めた。

「ティーダ、もう一口」

ティーダは口からアイスを離して俺に差し出してくる。そのアイスを無視して俺はティーダに口付けた。ソーダの安い味とティーダの味。びっくりしたティーダがアイスを落とした音が聞こえる。彼の全てを味わうように動かせば、だんだんと彼も応えてきて。また熱くなっちゃうじゃん、と彼は笑えば、またアイスを食べればいい、と俺は答える。

「それもそうっスね」



どろどろに溶けたアイスはもう食べれないな、とティーダは言って新しく冷凍庫からアイスを取り出してスコールもどう? と差し出した。

2017.5.6


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