20000hit!!! | ナノ






陽の光に照らされて薄く透ける長い髪が美しい。上品なフリルをあしらった膝丈の白いワンピースも、その新雪のような滑らかな肌によく似合う。


当然喰らうべくして、丁度一週間前に連れ帰ったこの少女、なまえは早くも愛玩対象にその役目を変えていた。

毎日の食事の甲斐もあってか、今ではすっかり赫子も出せるようになっている。

麗しい容姿に美しい隻眼、蒼く煌めく羽赫はさながらステンドグラスのようだ。暗闇で戦闘する彼女はさぞ可憐だろう。僕の小さき友を呼びつけて是非フィルムに焼き付けて欲しい所だ。

今はその輝きを内に留めている漆黒の瞳が、ふと僕を捉える。


「そういえば、美食の探求への協力…って私はなにをすれば良いの?」

「ああ、この香りだけでも十分なエッセンシャルには成り得るが…出来る事なら血肉を頂きたいものだよ、」



だが、気が変わってしまった。匂いだけでも普段の食事が100倍楽しめるというのは本当だが、この無知で不憫で純粋な可愛らしい生物に食物として以上の愛着が湧いてしまったのだ。

感情の読めない表情でこちらを見ながら静止しているなまえが逃げ出してしまう前に否定の句を続けようとするが、その前に彼女が先に口を開いた。



「…それだけ?」

「僕はそんなに簡単な要求をした覚えはないつもりなのだが…」

また彼女の事だから、意味をはき違えているのだろうと説明の言葉を模索していると、更になまえは続けた。



「だって、私の肉と、血を月山さんにあげればいいんでしょ?簡単だよ」

「身体は…大丈夫なのかい?」


捕食者として何とも間抜けな問いかけだと我ながら感じるが、あまりにも飄々とした返答に心持ち面食らってしまった。


「だって回復力が一番自信あるもん。齧られてもたぶん2秒くらい経てば治るから大丈夫。ちゃんと食べてれば、だけど…」


大きく表情を変えない中にもどこか得意げな雰囲気を感じて、言っておいてなんだが思わずこめかみを指で押さえた。


「なまえ、おいで」

一抹の躊躇いも見せずに近付いて来るなまえを、ぎゅっと腕の中に閉じ込める。


「この行為は…」

「これは親愛を示す時にやる動作さ…?君が初めて僕に出会った夜にした口付けも、想う相手に贈るものなのだよ」

「ありがとうの挨拶じゃなかったんだ」


大人しく抱きしめられたまま、絵本も当てにならないな。と呟いた彼女は僕の腰を抱きしめ返した。



「好きな人にやることなんだ、じゃあ私もやらなきゃね。月山さんのこと好きだもん」

そう言って胸にすり、と頬を押し付けると緩く目を瞑った。



Mimi
(喰べないんですか?私のこと)
(嗚呼…気が変わったよ。君はもっと色々肥えた方が良い)(特に教養面で)


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -