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「どうして分かってくれないんだいカネキくん!!!!!!第一、君にこうして毎度毎度行く手を阻まれるのはおかしいと思うんだ…嗚呼っ僕にどうしろと言うんだい…!教えておくれtell me…」


がくりと音がしそうなモーションでみっともなくカーペットの上に崩れ落ちたのは月山習さん。それを見下すようにして正面に立っているのは金木研、私の弟だ。



「信用できるはずないじゃないですか、月山さん」

「Why……」

「僕が喰べられないなら代わりに姉さんを…なんて考えはお見通しですよ」



そんな人を易易と大事な姉さんに近付ける訳ないでしょう。と言いながら踵を返した研は、こちらに歩いて来て私の前の椅子を引いて座った。


「Non!ノンノンノン!!!そんな事無いに決まっているじゃないか!僕は本当に愛しているんだ………ねえ、なまえさん?」

にこりと笑った顔に軽く笑みを返す。



先程から、いやこの間から、更に言うとかなり結構大分前からこのやり取りの繰り返しだ。

今日はまだ月山さんが正常歩行出来ているだけマシな状態だ。日によっては弟によってボロボロのくたくたになっている時もある。


ポットから注いだばかりの熱々のカップに口をつけようとすると、横からするりとそれが奪われた。そしてあろうことか、そのままそれを自分の口に近付けていく。



「月山さん、それ紅茶ですよ」

「Santo cielo…(なんてことだ) 嗚呼、やっぱり君は優しいね」


隣に失礼するよ、と私の横の席に腰を下ろした月山さんが、私のカップに口付けしたところでそれは粉砕してしまった。

もう紅茶は飲めないな、なんて考えながら今度はテーブルの上のジャムクッキーを弄くり回していると、茶濡れになった髪を拭き終わった月山さんが机の上に手を組んで話し始めた。




「カネキくんには霧嶋さんやリトルプリンセスがいるじゃないか、それに加えて姉まで囲うつもりかい?」

「分かりませんね、月山さん。"僕がどう"ではなく"貴方を近付けたくない"んです」


ぐ、と月山さんが唸り始めるのを遮るように、ちょっとの間をおいてから研は続けた。


「でも、まあ…僕はなまえ姉さんには幸せになって貰いたいと思っているし、月山さんは懲りずに毎日毎日やって来るし、もし姉さんが……月山さんのことが好きなら…僕は、止めません」


その言葉に月山さんは過剰反応を示した。
勢い良く立ち上がって「marvelous!」と叫ぶと、隣の私の肩をそっと抱いた。

私の意見は100%無視だろうか、と思っていると更に研が続ける。


「でも姉さんはまだ貴方のことを"好き"だなんて言ってません。触らないで下さい」

きらりと一瞬、紅がまたたいたと思うと次には月山さんの体は後方に吹き飛んでいた。


こうしてまた"今日"が終わっていく。
私がいつどんな結論を出すのか、自分でも見当がつかないが、明日もその次もきっとまだまだ続いていくのだろう。

近所迷惑になるなあ、なんて暢気に考えながら二人を宥めるために腰を上げた。




百夜通い
(今晩は血酒で勝負です)(望むところだよカネキくん)(お酒はやめなさい!!!)


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