[疑心暗鬼。] 何も見えなくなってしまった 空の青も 人の顔色も 好きだった君の瞳の色も 時計の赤い秒針も ただ白黒でしかない。 当たり前に「綺麗だ」と 思えていたはずの星の輝きも 今では単なる白でしかない 雨上がりによく見る 無色透明な水溜まりも 今では単なる黒でしかない あんなに色鮮やかに見えてた世界は こんなにも暗いものだった 乏しいものだった 寂しいものだった 悲しいものだった 息をするのも苦しいほど 辛いものだった 今まで見てきたものは全部 僕が作り出した「まがいもの」で 本当は白も黒もこの世には無くて 僕がここにあることも 誰かの長い夢の中にいるんじゃないか そんな疑いさえ沸き上がるの。 (15/126) |