昇華




とある昼下がりの空の下
無機質なタイルに感情を
亡くした雨が降り注ぐ
地下世界で僕は僕を殺し

不毛な闘いに滲む境界線で
非力な民は平穏なる日々を
視る目は孤独で色を失った

世界から疎外された
傀儡(あやつり)人形のように
灰くらき息を吸って育まれる心

君に代価なき無償の
愛はあるのか?と問いかけた

細くて壊れそうな白い君は
僕の前に落ちて色を宿す

希望への羽はもがれ
未来には足枷をされた日に

再び希望を夢見た
流れる刹那の楽園の中で
忘却の運命を

綴られる詩人みたいな
綺麗な世界で僕は恋をする

崩壊する現実は音もなく
忍び寄るは悪戯に
逢い引きは愛を強くした

君がいればどんな運命だって
変わる気がした
君がいればどんな僕だって
変わる気がした

廻ってきた混沌の悪夢
背に焼かれた刻印の運命(さだめ)
初めて生きたいと思った
強く相反する感情的な洗脳

揺蕩う記憶は走馬灯のように甦る中に
浮かぶ素朴な一輪の華が笑ってる

生まれる世界が違えば良かったの?

この黒い肌が悪いの?
この国が?この世界が?

答えなき自問自答に
心も身体も酸素を求めて

僕は、今。



written by 蛙音

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