それは、ある休日のこと―。





「蛮骨、神社何かに呼び出してどうしたの?」
「ああ、ちょっとおめぇに紹介しとかねぇといけねぇ奴がいてよ」
「紹介?(もしかして、蛮骨の彼女とか!?)」

長い黒髪の少女―一之瀬唯がそんなことを思っているとは知らず、蛮骨は彼女と共に境内の方へと歩く。
―すると・・・。

『きゃぁぁぁぁぁー! 霧骨の変態ー!! 馬鹿ーっ!!』
『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁー!?』
「「!?(何事!?)」」

境内の方から女の悲鳴と、知り合いの霧骨の悲鳴が聞こえ、二人は声の下方へと走って行く。
―声の場所へとたどり着くと・・・。

「霧骨の馬鹿ー! 変態ー! ロリコンー!!」
「いでででででーっ!? ま、待て待て待てー! ふ、不可抗力だぁぁぁぁー!」
「問答無用ー!! えーん! 馬鹿ー! 変態ー!」

唯と同じく、黒髪で巫女装束を来た少女が、手に持つ竹箒で―霧骨をしこたま叩いていた。

「「・・・一体、何事(だ)?」」

その光景に、二人が茫然としていると―。

「あ、蛮骨!」

今まで、霧骨をしこたま叩いていた少女が二人に気づいて、霧骨を足蹴りにすると二人の方へと歩いて来る。

「遅かったね―あれ、その子が紹介したい人?」
「あ、ああ・・・そうだが―おめぇ、何やってたんだ?」

蛮骨がそう聞くと、明菜は箒で霧骨を指して言う。

「ああ、霧骨ね。今日、神社のお手伝いに来てくれたんだけど―私の着替え覗いたり、身体触ったんだよ!? セクハラだよ!!」
「あ、そ、そうか・・・」

明菜が怒った様にそう言うと、蛮骨はその怒気?に圧され、引き気味にそう言う。
―明菜はその様子に気づかずに、それで、その子は?と、聞いて来た。

「ああ、そうだった―今日は、こいつの紹介に来たんだった」

蛮骨はそう言うと、唯を指差して言う。

「こいつは、一之瀬唯。前に話した、寺の二女だ」
「よろしく」
「んで、こっちがこの神社の娘の水野明菜」
「初めまして」

蛮骨がそう紹介すると、唯と明菜はそう言って頭を下げる。
―すると、明菜が口を開いた。

「わぁ、唯ちゃんてこんなに可愛いんだ♪」
「え!? え、いや・・・その・・・」
「いいなぁ、綺麗な髪だし肌も綺麗で白いし―羨ましい・・・」
「え、ええと・・・(そ、そんなこと言われると照れるし―視線が、痛い)」

明菜がじーっと見てそう言うと、唯は困った様に笑いながらそう言う。
―すると、蛮骨が明菜の頭にぽん、と頭を置いて言う。

「こらこら、そんな矢継ぎ早に言われて唯が困ってんだろーが」
「あ、ごめんごめん・・・つい」

蛮骨がそう言って窘めると、明菜は笑顔でそう言う。
―それを見て、唯は・・・。

「・・・何か、蛮骨と明菜って兄弟見たい」
「「ふえ?(あ?)」」

それを聞いて、二人は訳が分からない、と言った表情をして間抜けな声を出す。

「兄弟? 俺と、明菜が?」

蛮骨がそう聞く。
―唯は頷いて、答えた。

「さっき、蛮骨が明菜を止めた時とか―何か、兄弟見たいだった」
「そうかな?」
「うん」
「ふーん・・・ま、当たり前だな」
「「え?」」

蛮骨がそう言うと、唯達は彼の方を向く。
―すると、蛮骨は続ける。

「だってよ、明菜は俺の妹分だし―唯も明菜も、俺の大事な妹だぜ?」
「「! うん!」」

蛮骨がそう言うと、唯達は嬉しそうに笑ってそう言う。

「あ、そう言えば―ここ、明菜の家なの?」
「うん、そうだよー」

唯がそう話しかけると、明菜はそう返事をする。

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