太陽の日差しが暖かく、風がやわらかく長い黒髪をなでていく。


あたりは鮮やかな色で染まり、ほんのりとした雰囲気が漂う今日この頃。


城下町からは割と距離がある山では、人ごみのやかましさは聞こえない。


耳に伝わるのは、小鳥のさえずり、穏やかに吹く風の音(ネ)、それに揺らされてささやく木々の葉音。


そのどれもが、戦を生業とする七人隊の心を和ませr





「蛇骨〜〜〜ッ!!」


「へへっ、ばぁ〜か名前!悔しかったら、ここまで来てみろぉ!」


ドタドタッ!!





・・・・・・確かに長い黒髪を風になびかしている。が、それは自然のものではなく、名前が蛇骨を追いかけて出来た風。


せっかくの戦のない休日、穏やかな雰囲気も七人隊と名前には関係なかった。


中には関係のある者もいるが。(煉骨とか睡骨とか?)





「おい、せっかくの休みだ。静かにしねぇか。」


「煉骨〜!泣

蛇骨がイジメるぅ!!」


「あぁ!てめっ・・・名前、煉骨の兄貴から離れろ!」





隠れ家の廊下を走る名前と蛇骨を一喝するため、足音を聞いて部屋の障子を開けた煉骨。が、タイミング良くその開いたところから名前が煉骨に抱きついたのだ。





「わかったから離れろ。・・・・・・で?今日は何なんだ?」


「あのね、蛇骨が私の紅を勝手に使ったんだよ・・・。南蛮渡来のすっごく珍しい奴なのに・・・。」


「嘘つけよ、それは俺んだっての!!」


「違うし!私のはちゃんと広間のちゃぶ台の真ん中に置いてたんだもん!!それを蛇骨が使ったんじゃない。」


「俺も置いてたのはちゃぶ台の上だっつの!!」


「何よ!?」


「何だよ!!」


「・・・・・・あー、お前ら、ひとまず落ち着けって・・・」


「「うるさいっ、煉骨(の兄貴)!」」


「(ビキッ!)てンめぇ〜らぁ〜・・・・・・っあっ。」




にらみ合う名前と蛇骨・・・の後ろにスゥッ・・・と立ったのは七人隊首領蛮骨だった。




「あっ、蛮骨ぅ〜・・・」


「兄貴・・・。ちょっと聞いてくれよ、名前がさぁ・・・ってイ゛ダ!!!」





いきなり蛮骨がゴンっと言う鈍い音とともに蛇骨の頭をこずいた。


その瞬間、蛇骨はこずかれた頭を抱えて、その場にしゃがみ込んだ。





「なっ・・・何すんだよ兄貴!」




ジ〜ンとしびれる頭を押さえながら、涙目ながらに蛮骨を見上げる蛇骨。





「お前、バカか?お前のはこっちだろぉが。」






そう言って蛇骨の目の前に突き出したのは、問題となった南蛮渡来の紅。


先日、戦のあった城の城下町で名前と蛇骨、ふたりでお揃いで買ったものだった。


それを受け取り、蓋を開いた蛇骨。





「あ・・・。これ、俺んだ・・・。」


「だろ?」





目をまん丸くして驚く蛇骨に、満足げに口角をあげて笑う蛮骨。





「でもよぉ、何で兄貴が持ってるんだよ。あっ、もしかして蛮骨の兄貴も目覚めた?笑」


「・・・大兄貴・・・本当ですか・・・?」


「・・・ば・・・蛮骨・・・。」


「ちっ、ちげぇよ!!バカなこと言ってんじゃねぇ蛇骨!名前も煉骨も信じるな!
あのな、それは広間の隅で見つけたんだよ。んで中を開けたら、量が少ないから蛇骨のだと思ったんだよ。」


「なんかの拍子で落ちちゃったんだね。」


「それで、そのあとに名前が自分の紅を置いたってことか。」


「そー言うこった。」


「だったら蛇骨、お前があやまらにゃぁならんな。」


「・・・けどよ、煉骨の兄貴・・・」


「けどよ、じゃねぇ。お前も大人なんだからちゃんと謝れ。」


「中身は子供だけどねボソ」


「んだとコノヤロー!!」


ギャーギャー


「・・・・・・」


「・・・どうしますか、大兄貴?」


「知らねぇ。あとは煉骨、頼むな。」


「ちっ、ちょっと・・・」





再び名前の余計な一言でケンカが始まった。一度は収束するかと思ったところだったので、蛮骨は呆れてもと来た廊下をギシギシと戻って行った。


そこにはケンカするふたりと、とばっちりを受けた煉骨が残された。


せっかくの休日を邪魔された煉骨の怒りは頂点なわけで・・・・・・





「お前ら・・・いい加減にしやがれー!!」





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