快楽は侵入する






最初は恥ずかしさしか感じなかった。
だって、そういうもんでしょ。
何が楽しくて力を抜いたまま、よりにもよって元教え子なんかに体を預けなくちゃならないんだ。

多少寂しがりな面があったって、それ以上にめんどくさがりで。
他人にされるよりは自分でする方が好きだったりもする。
それなのに、何で……

「セーンセ、あんま力んでっと危ねーって」
「そんな事言われても……」

照れくさいんだよ、バーカ。
頭を撫でられながら心の中で毒づいたって、そっぽを向きながらノドを鳴らす子猫のようにしか見てもらえない。
本気で抵抗するには今の状態はあまりに危険で、結局俺は徐々に体の力を抜く羽目になる。

「そうそう、お利口さん」
「子供扱いするな」

これ、いつもはナルトのセリフ。
まさか自分が言う時がくるなんて。

「ほら、動くなって。ジッとしててよ」

悔しいぐらいに男らしい体で押さえつけられて、髪の毛を揺らす事さえ許されずにナルトにされるがまま。
少しずつ入り込んできたそれに身じろぐと、先生ってばと呆れ顔。
子供みたいに屈託なく笑いながら、その瞳にはかつて父親に見られた優しさが滲んでいる。

「俺、こういうのダメなんだって」
「先生がダメでも俺は良いの!絶対、気持ち良くすっから」
「自分でする方が百倍マシだね…っ!」

なおも態度で抗ってみせれば、確信を得たように壁を擦る。
痒いところに手が届いたような心地よさに眉を顰めると、ナルトは勝ち誇ったようにフフンと笑った。

「体は素直じゃん」
「お前はエロ親父か……」

繰り返し、絶妙な力加減でソコを擦られて、背中のあたりがムズムズするような感覚にギュッとナルトの服を握り締めた。

「悪くないっしょ?」
「別に」

気持ちよさでつま先にまで力が入ってるのに、息と共に吐き出されるのは偽りの言葉ばかり。

ウソツキ…

一度動きを止めたナルトが囁く。
もうダメだ、俺、完璧コイツにオトされてる。

「ナルト、もっと奥……」
「りょーかい」

ナルトの体にしがみついたまま、快楽に墜ちていく。





最初は恥ずかしさしか感じなかった。
父親にも、先生にもされた事が無かったのに、
膝枕で耳掃除をされるなんて。
しかも、愛おしそうに耳掻きを奥に進めるのが元教え子だなんて。
でも、馴染みのなかった快感は少しずつ少しずつ俺の日常に入り込んで、気付けばドッカリと居座ってしまっていた。

「どうしてくれるんだ…」
「何が?」
「もう、自分でしても物足りなくなっちゃったじゃないの」

耳掻きとティッシュを握って茫然とする俺に、ナルトはあっさりと言い放った。

「いつだって俺が傍にいるんだから困んねーってばよ」


こうして、何てことない日常にまで、感じた事のない暖かさを伴ってナルトはするりと入り込んでくる。
その事に抵抗を感じなくなってきた今日この頃。

めんどくさがりだったはずなのに、いつの間にかナルトのペースがマイペース。
悔しいけれど、もう抜けられない。





07/02/02

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