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※付き合ってる設定で沖妙。いつもよりいちゃいちゃしてるかも。









差し込んでくる夕日が眩しい。

沖田は手をかざして外を見た。
丁度夕日が沈んでいく最中で、辺りはオレンジ色に染まっている。

もうそんな時間かと沖田は伸びをして携帯の電源を切った。
さっきからひっきりなしにかかってくる電話はきっとあいつに違いない。
おそらく今日が提出期限の書類について早く出せとでも言うつもりなんだろう。
だがお生憎様。書類ならもう仕上げて山崎に渡してある。
あいつまだ渡してねェな、と舌打ちをしながらスカーフを緩めた。

今日は夕方で上がりの日。
今日のために、沖田は珍しく期日に間に合うように書類を作ったのだ。

「出来た、っと」

聞こえた声に沖田は振り返る。
沖田の上着を広げ、嬉しそうに妙は沖田に笑いかけた。

「お待たせしてすみません。これでそんなに目立たなくなったと思います」

どうぞ、と妙は上着を差し出す。沖田はそれを受け取って、ありがとうございやすと上着を広げてみせた。

「すげェや。これじゃほとんどわかりやせんぜ。ありがとうございやした」

先日の斬り合いでかすった袖口は、ほとんどもと通りといって差し支えないほど綺麗に修復されていた。
この器用さが少しでも料理に活かされればなあとこっそり思いながら、沖田は上着をわきによける。
皺が寄りますよ、と諫められて仕方なく畳んだ。

「そろそろお仕事にお戻りにならないと」

もう日没だわ、と妙は外を見やる。

「大丈夫ですぜ。俺はこの後非番なんでさァ」

仕事もばっちり終わらせてきやしたぜ、と胸を張る沖田に妙は呆れたようにため息をついた。

「呆れた。昼過ぎからずっと家にいたのはそういうことだったんですか」
「何でィ。最近ゆっくり会えなかったじゃねェですか。嬉しくないんで?」

拗ねたように言って、沖田は妙の手を引いて隣に座らせる。
もう、とため息をついて、妙は大人しく沖田の隣に腰を下ろした。

「嬉しくないなんて言ってませんよ?」
「素直じゃねェお人でさァ」

くすくすと笑って、妙はありがとうございます、と言う。

「何でィ急に」
「お仕事、大変だったんでしょう。こうしてあなたがここに来るのも久しぶりだもの。来て下さってありがとうございます」
「…珍しく素直ですねィ」
「あら、素直じゃないって言ったのはどこの誰かしら?」

ああもう、と沖田はごまかすように頭をかいた。
それを見て、妙は満足そうに笑う。

妙の艶やかな髪が揺れた。そして突然、プツン、と音がして、妙のまとめ上げていた髪がほどける。
あら?と妙が結び目に手をやると、輪が千切れて一本になってしまった髪紐。

朱色の髪紐を手にとって、くるくると手で弄ぶ。

「急に切れやしたね。大丈夫ですかィ」
「ええ。もう随分長く使っているものですから」

気に入っていたんだけど、と妙は眉を下げた。

「髪紐くらい買ってやりやすぜ」
「そのお言葉だけで十分よ」

妙は切れてしまった髪紐を丁寧に結んで、帯にはさむ。
それを横目で見ながら、沖田は浅くため息をついた。
今度適当に理由を作って買って行ってやろうとこっそり決意して、沖田は妙の髪に手を伸ばす。

「っとに綺麗な髪ですねィ」

さらさらと流れるように肩に落ちていく髪に目を細め、沖田はその一房に優しく口付ける。

「髪は長い方がお好き?」

投げかけられた疑問に、沖田はさぁねェと気のない返事をしながらするすると髪を撫でるように梳いた。

「お妙さんの髪ならどっちでもいいですぜ。でも、これを切っちまうのは勿体ねェ」

そうですか、と何でもない風に言いながらそっと目元を緩ませた妙を愛おしそうに見つめ、沖田は妙のこめかみにちゅ、と口付ける。
指通りのいい髪に手をやりながら、沖田は妙の額、瞼、鼻筋、頬、と順番に唇を押し当てた。
うっすらと色付く首筋にかぷりと噛み付いてやれば、妙の肩がぴくりと揺れる。

「っ総悟さん」

やめて、と沖田の胸を押して妙が抵抗する。
顔を赤くして瞳を潤ませる妙に、沖田が口角をあげた。

「何ですかィ」

ちゅ。
吐息混じりにそう言って耳たぶにひとつ。

「あっ…もう!総悟さんっ」

ちゅ。
羞恥から赤く染まった頬にひとつ。

「っ、」

ちゅ。
勢いよく繰り出されてきた拳を受け止めて、その甲にひとつ。

「やめて、」

指の腹で撫でるようにして拳をほどきながら、沖田は愉快そうに妙の顔を覗き見る。

頬を赤く染めて眉を吊り上げる妙にくすりと笑みをこぼして、ごめん、と眉間にキスを送った。

くすぐったそうに目を閉じた妙の頬をするりと撫でて、ぐっと距離を詰める。
愛しい女の瞳に映っているのが自分だけだというのは大層気分がいいな、と沖田は満足げに笑みを深めた。

「ちょっと、」
「何ですかィ」
「ち、近いです」
「この状況でそれを言いやすか」

アンタらしいや、と沖田は苦笑して、艶やかな妙の髪に指先を埋める。
耳を挟み込むように手のひらで覆えば、途端に肩が跳ねた。

「相変わらず耳が弱いですねィ」
「やっ、やめてください」
「これでも落ちないなんてさすがでさァ」

こうしてじゃれ合うのは初めてでもないのに、妙は恥ずかしげに視線をそらす。
いい加減にして下さい、とやんわりと手を解かれそうになって、そのまま手を引いた。

きゃ、と短い悲鳴が上がって妙はぽすんと沖田の腕の中に収まる。
一気に近くなった距離に、妙の頬がますます赤くなった。

「これから俺が何しようとしてるか、説明してやりまさァ」
「いっいいです!総悟さ、」

妙が言い切る前に、沖田はその唇を塞ぐ。
妙はどんどんと胸板を叩いて抵抗するが、耳を手で塞いだまま口付けを深めれば妙はあっさりと陥落した。

鼻から抜けるような声。
手に馴染む髪が心地いい。

ぐっと腰を引き寄せて、そのまま畳に押し倒した。

唇を離せば、視界に映るのは愛しい女の姿。
はぁ、と妙の口から零れたため息さえも惜しいと思ってしまうなんて。

「…とんだ計算違いでさァ」

なあに、と目線問うてくる妙の涙を舐めとって、沖田はたえ、と耳元で囁いた。

切なそうな表情で自分を見上げる妙が可愛くて可愛くて仕方がなくて、沖田は妙の眦に口付ける。

「っとに、そういうとこが、かわいくてしょうがねェ」



何も云わずにただキスをして

(愛しい、愛しい。ただ君が)
(それが少しでも伝わればいい)



Title: a dim memory

大変お待たせ致しました…っ!リクエストくださった柏木智さまに捧げます!「沖田さんに翻弄されるお妙さん」のはずが、ただのいちゃいちゃネタになってしましました…。付き合ってしばらくたってる二人。いつもよりいちゃいちゃさせようと思って、沖田さんに頑張ってもらいました。沖田さんが優勢な雰囲気だけでも伝わっていれば嬉しいです><同い年カップルらしいきゃっきゃうふふはやっぱりいいですね^^原作でもパロディでも、二人でいるときは年相応な二人でいられたらいいなと思います^^書いている時もすごく楽しく書かせて頂きました。リテイク・返品もちろん承りますので、何かあればお気軽にご連絡くださいね!もう一つのリクエストの方も必ず書きますので、少々お待ち下さい。お待たせして申し訳ありません。。。素敵なリクエストありがとうございました!


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