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※注意
高杉さんたちとの戦いが終わった直後、という設定で書いています。
いろいろとだいぶ捏造してるのでお気をつけください。





(どこ、どこ、どこ…?どこにいるの…!)

崩れた家屋と瓦礫の間に出来た道を、神威はひた走る。
かぶき町からは少し離れたこの場所で、真選組や鬼兵隊、春雨、万事屋、見廻り組をはじめとする戦いはようやく終結した。

死傷者も多く出た。どの勢力にとっても決して楽な戦いではなかっただろう。
神威自身、普段では考えられないほどの傷を負った。

こめかみを生温かい血が伝う。
地球人より治癒が早いとはいえ、痛みがないわけではなかった。

(痛い…。けど、今はそれどころじゃないんだ)

自分の身体より、大切なもの。
神威はそれを今探していた。

「妙…っ!!!」

自分の最愛の少女、志村妙。
きっと、あそこで闘っていた誰にとっても、大きな存在であろう少女。

本来なら、ここにいるはずがない。
しかし、妙はここに来ていた。

『神威さん…っ!』

かすかに、だがはっきりと聞こえた。
自分が倒れたあの瞬間、妙は自分の名を呼んだ。

幻聴かと思った。
けれど、あれはたしかに妙の声だったのだ。

(どうしよう…。何かに巻き込まれでもしてたら…。もし、もし、妙が…、)

胸に迫る不安。
焦る自分を落ち着かせるように、神威はただ走った。
妙、妙、と名を呼んで、応えてくれることを祈りながら。

「…い、さ…」
「…っ、妙!?」

小さく聞こえた声に、神威は耳をすます。
声のした方向に全速力で走った。

「妙!妙!返事して!どこに居るの!?」
「神威さん…!」

丁度曲がり角(のようになっているところ)を曲がると、目に飛び込んできたのは桃色の着物。
間違いない。ずっとずっと探していた少女。

「妙…っ!!!」

神威は勢いで転びそうになった妙を受け止めて、そのまま抱きすくめる。
ようやく手元に感じた体温と感触。
焦がれてやまなかった少女が今腕の中にいる強烈な安心感。

「神威さん…っ!」
「妙…!妙…!良かった…!」

知らずに声が震えた。
確かめるようにぎゅっときつく抱きしめて、妙、と何度も名前を呼ぶ。
神威さん、と呼ぶ妙の声も震えていた。

「顔、見せて…。ほんとに妙だよね?」
「ええ、本物よ」

身体を離し、神威は恐る恐る妙の顔を覗き込むように見つめる。
そっと妙の頬に触れた。

「妙…、たえ…!た、え…っ」
「はい、神威さん」
「ほんとに妙だ…!」

ぽろぽろと神威の頬を大粒の涙が伝う。
次々と溢れる涙を妙の白い手がやさしく拭った。

「銀さんや新ちゃん、神楽ちゃん、みんなを危険な目に合わせて。怪我だってさせて…、」
「……っ、」
「貴方だって、こんなに怪我して…、」
「った、え…」
「…って、たくさん文句言ってやろうと思ってたのに、貴方の顔見たら、全部吹っ飛んじゃったわ」
「…ぅ、…ったえ」
「…無事で良かった」

子供のように泣き続ける神威をそっと抱きしめて、おかえりなさい、と妙は笑った。



おまけ


「で、あっという間に全快ですかコノヤロー」
「あはは、ごめんネー。まだ治ってないの?」
「うっせェェェェ!!俺普通の地球人だからね!」
「はいはい、もう。静かにして下さいな。傷口が開きますよ」
「妙ー、介抱なんてしなくていいヨ。俺と遊ぼ」
「黙るアル神威!半分はお前のせいで銀ちゃん死にかけてるアル!ちょっとは責任感じるヨロシ!」
「うるさいなあ、弱い奴は黙ってなよ」
「もっぺん言ってみろコルァァァァァ!!!」
「こら、神威さん!神楽ちゃんと仲良くするって言ったばっかりでしょう!」
「だってー」
「何がだってアル!キショいネ」
「まあまあ神楽ちゃん。いろいろあったとはいえせっかく仲直りしたんだから」
「「仲直りなんてしてないよ(アル)」」
「姐さーん、ちょっとこっち来て下せェ」
「はーい、今行きます」
「行かなくていいヨ!あんな連中より俺の相手して」
「アネゴから離れるアルゥゥゥゥゥ!」
「お妙さァァァァァァん!!!俺の包帯巻き直してください!」
「「「「「死ねよゴリラ」」」」」
「ちょっ、何で俺だけェェェ!!??」



(平和が戻ったかぶき町。今日もなんやかんやでみんな元気です)



「いい感じにしめてんじゃねェぞ新八ィ!!!」





「おかえり」が待ってる
(君はみんなの帰る場所)



Title:ひよこ屋



End

フリリクを下さったななさまに捧げます!とんでもなく遅くなってしまって申し訳ありません…><。ものすごく時間がかかってしまいましたが、頂いたリクエストは全部書きあがりました!この話の時間軸は最終決戦的なものが終わった後です。いろいろ捏造してすみません;;戦いが終わってぼろぼろでも、お妙さんに会いたくて不安いっぱいで走り回ってる神威が急に思い浮かんだので書かせて頂きました。まだのぞいてくださっているかわかりませんが、気に入って頂けたら嬉しく思います^^
素敵なリクエストありがとうございました!


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