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心中しようか、世界と一緒に(新妙)※


※暗いです。姉弟的なアレなので、苦手な方はご注意ください。





「ごめんなさい…」

ごめんなさい、ごめんなさい、とただひたすら謝罪を繰り返す彼女をぼんやりとただ見つめる。

子どものように泣きじゃくる彼女を、どうしようもなく愛しいと、そして可哀想だとも思った。

「ごめんなさい」
「あね、うえ」

涙で腫れた目に口づけを落とし、そっと頬に触れる。
冷たい、陶磁のような滑らかな肌。
彼女の瞳からあふれた涙が手のひらを濡らした。

「泣かないで、ください」
「ふ…ぅ、」
「僕が、傍にいますから」

服をつかむ彼女の手は驚くほど細く、そして白い。
彼女はこんなにも小さかっただろうかと幼いころ大きく見えた彼女の背中を思い返した。

「ごめん、なさい…」
「謝らないで。僕も、同じです」

障子もふすまも何もかもを閉め切った薄暗い部屋の中で、彼女はただ静かに涙をこぼす。

誰に謝ろうと、きっと許してもらえることではない。
これは、禁忌だ。

「新ちゃん」
「…妙」

初めて口にした彼女の名前はひどく美しい響きを持って脳内にこだまする。
彼女の濡れた瞳に自分の姿が映った。

強い衝動。
引き寄せて、口づけた。



(貴女がいるなら、僕はどこへだって行ける)
(たとえ、どんなに辛い結末が待っていたとしても)


title:灰の嘆き

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