拝啓 くるくる天パの旦那さま


『坂田銀時様

こうやって改まってあなたに手紙を書くのは初めてね。銀時様、だなんて呼んだこともないからなんだか照れくさいけれど、きちんとした書き出しにしました。(本当は、「くるくる天パの旦那さまへ」って書こうとしていたのよ。)

さて、改めまして、こんにちは。今日はとってもいいお天気です。久々に外を散歩したんですよ。ずっとこんなお天気が続けばいいですね。

あなたが今これを読んでいるということは、私は死んでしまった後なんでしょう。
あなたは今泣いているのかしら?もし泣いているのなら、泣くのは今日だけにして、明日からはどうか笑ってくださいね。
あなたが暗かったら、新ちゃんも神楽ちゃんも、それからあなたと私のかわいい赤ちゃんも、心配しますから。あなたはひとりじゃないんですよ。

あなたとはずっと長い間一緒にいた気がするけれど、あなたと"夫婦"になってから、まだたった3年しかたってないんですね。
あなたは覚えてるかしら?プロポーズの言葉は全然ロマンチックじゃなかったけれど、なんだかあなたらしくて笑っちゃったわ。

ちゃらんぽらんでいい加減で、ほんとにどうしようもない人だけれど、不器用で、でも真っ直ぐでとても優しいあなたが私は大好きでした。
喧嘩もたくさんしましたね。素直になれない私は、あなたをいつも困らせてばかりで。子どもだったんです。私はあなたに追いつきたかった。あなたに釣り合う女になりたかった。

でもあなたは、"お前はそのままでいい"って言ってくれましたね。
あの時は素直に言えなかったけれど、私本当に嬉しかったんです。

ありがとう、銀さん。

私はあなたからたくさんの愛情をもらいました。

あなたより先に逝かないって約束したのに、守れなくてごめんなさい。
あなたにもらったものを何も返せないままでごめんなさい。
旦那さま不孝な私を許してね。

ねえ銀さん、あなたは私と一緒になって良かったですか?後悔していませんか?

私は、あなたに出会えて世界で一番幸せでした。これだけは胸を張って言えるわ。

あなたとこの子を置いていくことだけが気がかりだけれど、あなたなら大丈夫だって信じています。
だって、私の旦那さまですもの。

銀さん。あなたの妻であったこと、私は何よりも誇りに思います。

大事な私の旦那さま。
体を大事にして、あまり無理はしないでください。私がいなくなっても、どうか笑っていてくださいね。

長くなってしまったので、そろそろ筆を置きますね。
あ、ほら。外からあなたの声が聞こえるわ。
あら?今日は真選組の皆さんも一緒なのかしら。
騒ぎすぎて婦長さんに追い出されなきゃいいけど。

そうそう、あなたの手土産、いつも楽しみにしているんですよ。
昨日は並ばないと買えないって噂の金平糖。その前は綺麗なお花でしたね。
今日は何を持ってきてくれるのかしら?

ねえ銀さん、
私は今日も幸せよ。

だから、何も心配しないで。
笑っていて下さいね。

坂田妙より』




『追伸
この間はやっぱり婦長さんに怒られて追い出されてしまいましたね。
婦長さんは大層ご立腹でお小言も食らってしまったけれど、賑やかで本当に楽しかったわ。
毎日お見舞いに来てくれてほんとうにありがとう。

書き忘れたことがあったので、もう一度筆をとりました。
いつも思っていたけれど、口に出したことがなかったから。

銀さん、私はあなたを愛してるわ。』







2012/06 加筆修正

 

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