未来に叫ぶ-おまけ


「「銀さん(ちゃん)、ちょっとツラ貸せやゴルァ」」
「ちょ、待て待て待てェェェェ!!!何綺麗にハモってんの!しかも新八くんその手に持ってるものはもしかしなくても真剣だよねェェェ!!?」
「そうですよ。父上の形見です。父上もきっと許してくれるはずです。ということで銀さん、潔くここで切腹して下さい。介錯は僕が務めます」
「銀ちゃん、いっぺん死んで来るヨロシ。大丈夫ネ!そんな痛くないようにしてやるアル」
「お前ら目がマジィィィィィ!!!!」

買い物から帰って来た二人に事情を説明すると、二人はにっこりと微笑んで妙におめでとうと告げた後、銀時にカチャリと武器を向けた。

「「死ねェェェェェェ!!!!」」
「ギャァァァァァァァァ!!!」

ドドドドドドと間髪入れずに神楽の傘が火を噴いて、新八が銀時に斬りかかる。

命がけで追いかけっこをする三人を縁側から眺めながら、妙はくすりと微笑んだ。

「銀さんと姉上がお付き合いするのは認めましたよ!ええ、認めました!でも嫁入り前の姉上に手ェ出すたァどういう了見だァァァァァ!!!」
「だから責任とるって言ってんだろォォォォ!!?」

物凄い剣幕で銀時を追いかける新八と必死で逃げる銀時の逃走劇はなかなか終わりそうにない。
お茶菓子でも出そうかしらと思案していたところに、アネゴ、と呼びかけられて振り向いた。

「あら、神楽ちゃん。もういいの?」
「いいアル。後は新八に任せるネ」
「ふふ、そう」
「アネゴ」
「なあに」
「アネゴは今幸せアルか?」

真剣な表情でそう問いかけてくる神楽に、妙は満面の笑顔で頷いた。
神楽の肩を抱き寄せて、そっと頭を撫でる。

「ありがとう、神楽ちゃん。私ね、今本当に幸せなの。新ちゃんがいて、神楽ちゃんがいて、銀さんがいて、それからこの子がいて。こんなに幸せなことってないわ」

大好きよ、神楽ちゃん、という妙の声に神楽は不意に泣きそうになった。
なんて綺麗なんだろう、と妙の幸せそうな笑顔を見つめる。
自分もいつか、こんな風になれたらいいと心の中でそっと願った。

「銀さん!!」
「はィィィィ!!」
「姉上のこと、泣かしたら、ほんとに殺しますからねっ!!!」
「新八…」
「幸せに、ならなきゃ、許しませんよっ!!!」

銀時を追いかけながら、新八は大声で叫んだ。
わあわあと泣きだした新八の頭を銀時はそっと撫でる。

「…ありがとな」
「義兄上(あにうえ)なんて、絶対、呼ばねーかんなっ!!!」

悔しそうにそう言って、それから困ったように笑った。

「新ちゃん…っ」

突然感じた衝撃と大好きな人の声に、新八の涙腺がまた緩む。
止まりかけた涙がまたぽろぽろと零れた。

「姉上…」
「新ちゃん、新ちゃん…」
「姉、上ぇ…っ」

胸に飛び込んできた妙を新八は恐る恐る抱きしめる。
ありがとう、と掠れた声で小さく囁かれた言葉に新八は何度も頷きを返して、幸せになって下さい、と笑った。


きっと来年の春には、ここはもっと賑やかになる。


 

[back]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -