僕は黒子テツヤ、22歳。駆け出しの作家で、とある事情により赤司君という子を養っている。 「これは一体何でしょう、赤司君。」 「イタズラ、だよ。」 「イタズラというより悪戯ですよね。公的な小道具は笑えません。」 「驚いただろう?」 「判子まで押してあることに心底驚いています。」 「大丈夫、判子の置き場所は他言しないから。」 「当然です。それとこの婚姻届もどうにかして下さい。」 「役所に出してきても良いかい?」 「絶対に駄目です。」 ムスリとした赤司君は年相応で、だけど婚姻届を偽造しようとしたあたりは侮れない。 「安心しなよ。この婚姻届を出すつもりは無いから。」 「それならいいんですが。」 「日本じゃ同性婚は認められてないからね。だから海外での手続きにぬかりは無いよ。」 「安心した僕が馬鹿でした。」 「今はまだ被扶養者だけど大学を出たら僕がテツヤを養ってあげる。」 「いえ、自分の生活費は自分で…」 「結婚のことを考えると海外に移住してしまう方がいいかな。別荘というのも悪くないね。」 「ですから、」 「結婚式は2人だけがいいね。あ、でもキセキ達くらいは呼んでやるか。そして奴らの初恋を散らせてやろう。」 「・・・」 「ちなみに僕は白無垢派だ。」 もう何を言っても無駄だ。流すしかない。心をミスディレクション。 「そうそう、」 「…?」 「ご両親の承諾は取ってあるから。」 人生は、全然甘くない。 --------------------------- 「さて、甘い甘いテツヤを頂こうかな。」 「ハロウィンの趣旨、完全無視ですね。」 2012.10.31 ハロウィン企画小説 |