「愛、だよな…?」

『・・・』

「なあ、どうしたんだよ…」

何で助けようとした鷹の首が転がってんだよ。何で峰しか使ったことない夜桜の刃に血が滴ってんだよ。何で、何で俺を切ろうとしてんだよ。

ヒュッ

「っ、」

「やめときなよ、愛。」

「『!』」

ドガァン

目の前に居た愛の身体が吹き飛ぶ。咄嗟に受け身をとったようだが壁に叩き付けられることは免れられなかった。

「やれやれ、漸くお目覚めだネ。」

「て、てめえは!」

「久しぶりだね、お侍さん。」

「何で此処に居やがる!神威!」

「迎えに来たんだ。」

「迎え…?」

「修羅の血に目覚めた愛を、ね。」

愛を迎えにだと?そこで漸く気付く。コイツは春雨の一員だった、と。

「誰がてめぇなんかに渡すかよ。」

「ははっ、お侍さんらしいね。でも、そうも言ってられないよ?」

「は、」

「愛はお侍さんを殺そうとしたよ。」

ドキリとした。だが言い返せる姿勢はすぐにできた。心を殺すことが常だった愛の表情は変化が乏しい。だけど目を見れば分かる。さっきのあいつの目は本物じゃなかった。あれは愛の意思じゃない。愛に視線を向けた時、もう1度ドキリとした。あれは見覚えのある…

「荼吉尼の角と辰羅の耳…?」

「流石お侍さん。気付いたね。」

「…てめえ愛に何しやがった。」

「俺は何もしてないよ。ただあの鷹を使ってきっかけを作っただけ。」

「てめえがあの鷹を!?何のためにっ…!」

「だからきっかけ作りだって。愛の中の荼吉尼と辰羅の血を目覚めさせるための。」



既定運命



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「お侍さんには特別に教えてあげるよ。愛自身も知らない秘密。」

「何、だと…」

「愛の母親は荼吉尼と辰羅のハーフだったのさ。」




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