ガチャン、隣で神楽が番傘を構えるのが分かった。マシンガンの如く撃ちまくるがスピードは鷹の方が上だった。

「全然当たらないアル!」

『やるわね、あの鷹。』

「こ、こっち来ますよ!」

「しゃーねえ…取り敢えずバラけるぞ!」

新八は神楽と共に、銀とあたしはそれぞれ単独でその場を飛び退く。試しにそこら辺にあった石を鷹に投げてみたが、呆気なく避けられた。

『飛び道具じゃ駄目そうね。接近戦でどうにかするしかないわ。』

「どうにかって…」

『出来るだけ傷つけないで気絶させられればいいんだけど。』

「愛ちゃーん、それはちょっと難しい注文なんだけど…」

『分かってるわよ。分かってるけど…』

「…ま、やるだけやってやるよ。」

『銀、』

「よーし、新八!神楽!行くぞ!」

「「おう!」」

意気込んだのも束の間、空気の変化を感じ取ったらしい鷹は上空へと向かった。

「アイツ、上がってったアル!」

「また突っ込んでくる気だな。」

「何か作戦無いんですか!?」

「そうだな…」

『あたしが囮になるわ。』

「は!?」

『あの鷹をうまく低空飛行させるから、その間に捕まえて。』

「危ないヨ!狩られたらどうするアルか!?」

『なんとかなるわ。』

「適当!?」

今日もツッコミが冴える新八。だが笑っている場合じゃなかった。

ザアァァ

『!』

「新八ィ!」

「う、うわあぁぁぁ!!!」

新八に降り注いだのは矢のように鋭い鷹の羽根。咄嗟に神楽が傘を広げたが無情にも貫かれた。

『新八!神楽っ!』

砂煙が晴れる。地面に突き刺さる羽根に混じって、2人の姿が現れた。

「おい!しっかりしろ!新八!神楽!」

銀が駆け寄って2人を揺さぶるが、ぐったりとして動かない。そして見えた、赤い、紅い、朱い…

『っ、』

ヒュオッ

「おい愛!逃げろ!」

薄れゆく自我では銀の声を拾いきることは出来なかった。



目覚め



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動かなかった愛が不意に纏う空気を変えたかと思うと、

ザシュッ

「なっ…!」

鳴き声も無く首を落とされた鷹の血を一身に浴びる愛の目は、生き物とは思えない程に濁っていた。




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